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  • USPTO、米国外所在の特許出願人・特許権者に登録特許実務者による代理を義務化する規則改正案を公表

    米国商務省・米国特許商標庁(USPTO)は、特許出願人および特許権者のうち、 住所(自然人)または主たる事業所(法人等)が米国または米国領内にない当事者 (以下、米国外所在の出願人/発明者・特許権者)について、 登録特許実務者(登録特許弁護士・登録特許代理人等)による代理を必須 とするため、特許実務規則(37 CFR Part 1)の改正を提案しています。USPTOは、この代理人必須化により、米国の運用を国際標準に近づけるだけでなく、手続運営の効率とコンプライアンスを高め、虚偽申請等への対応力を強化できると説明しています。 本提案の背景としてUSPTOが挙げているポイントは、第一に 他国審査当局との調和 です。多くの国では、外国出願人が現地の資格者(代理人)を通じて手続を行うことが義務づけられており、米国でも同様の枠組みを導入することで、国際的に整合した出願・権利管理の実務に近づける狙いがあります。第二に 審査の効率化 であり、代理人を付けずに本人が直接手続する(pro se)ケースでは、方式不備や手続上の行き違いが生じやすく、USPTO側の事務処理や審査官対応に追加コストが発生しやすい点が課題とされています。第三に 法令・規則の順守強化 で、登録特許実務者が関与することで、手続要件に沿った専門的な提出が期待でき、制度上求められるルール遵守の実効性が高まるとしています。第四に**不正・虚偽申請の防止(詐欺抑止)**であり、登録特許実務者はUSPTOの職業倫理規則や懲戒制度の対象で、調査への協力義務等も負うため、虚偽の陳述や不正確な実体情報の記載、虚偽の資格・ステータス主張(例:手数料減免に関わる不適切な申告)といったリスクを低減し、制度の信頼性を高められると説明されています。 運用面では、代理が必要となる案件について、補正や応答書、出願人情報(ADS)、情報開示(IDS)、各種請願(優先審査申請等)などの提出書面は、原則として登録特許実務者の署名がなければ受理・記録されない方向で整理されています(他方で、発明者宣誓書など、性質上特定当事者の署名を要する書面は例外とされます)。また、特許権者が法人等である場合の代理人要件も明確化され、成立後の局面を含めた手続の適正化を図る内容となっています。 本提案はパブリックコメントの対象で、 意見提出期限は2026年1月28日 です。コメントは政府の電子規則制定ポータル(regulations.gov)から、ドケット番号「 PTO-P-2025-0008 」を検索し、該当案件の「Comment」機能を通じて提出します。提出内容は公開されるため、公開を望まない個人情報(住所・電話番号等)は記載しないことが推奨されています。

  • USPTOが推薦するPDFフォーマットの適切な利用と不明瞭な図面の対応

    Patent Centerを通じてUSPTOへPDFファイルを提出する際、特に図面が不明瞭になってしまうという問題が多く報告されています。この問題の主因は、PDF作成時の画像解像度の不足、非可逆圧縮による画質劣化、ならびにPDF特有の機能やレイヤー構造が審査用表示に適さない形で残存している点にあります。USPTOはこれらのリスクを回避するため、PDFフォーマットおよび画像処理に関して明確な技術的指針を示しています。 まず、図面や画像は、白黒(二値)、カラー、またはグレースケールのいずれであっても、最低300 DPIの解像度でスキャンまたは作成することが求められます。300 DPIを下回る画像は、拡大表示や印刷時に線が途切れたり文字が判別できなくなる可能性が高く、審査官による正確な理解を妨げる要因となります。 次に、画像ファイルの形式と圧縮方式も重要な要素です。 USPTOでは、TIFF、PNG、GIF、BMPといったロスレス形式で保存された画像の使用を推奨しています。特に注意すべき点として、PDF作成ソフトウェアが自動的に画像をダウンサンプリングしたり、不可逆圧縮を適用したりしないように設定する必要があります。カラーおよびグレースケール画像については、原則として圧縮を行わないことが望ましく、白黒(二値)画像に対してのみCCITT Group IV圧縮の使用が推奨されています。これにより、ファイルサイズを抑えつつ、線画の鮮明さを維持することが可能となります。 また、PDFの「Alternates」機能の使用は禁止されています。Alternatesは、画面表示用と印刷用で異なる画像を切り替える機能ですが、USPTOの審査環境では意図しない画像が表示されるおそれがあり、提出図面の完全性および一貫性を損なうリスクがあります。そのため、単一かつ確定した画像のみを埋め込むことが求められます。 さらに、複数のレイヤーを含む画像については、PDFに埋め込む前に必ずフラット化する必要があります。この際、すべてのレイヤーのプロパティを「表示(visible)」に設定した上で統合することが重要です。レイヤーが非表示のまま残っていると、作成者の意図した内容が審査官側で表示されず、図面の欠落や誤解を招く可能性があります。 以上の点を遵守することで、Patent Center提出時に発生しがちな図面の不明瞭化を大幅に低減することができ、USPTO審査官に対して正確かつ明瞭な技術情報を提供することが可能となります。PDF作成工程を単なる形式的作業と捉えるのではなく、審査品質に直結する重要なプロセスとして位置づけることが、円滑な特許審査への第一歩となります。 Images Bi-tonal (black and white), color, or grayscale images should be scanned at a minimum resolution of 300 DPI. It is recommended to use images saved in a lossless format (e.g., TIFF, PNG, GIF, BMP). It is strongly recommended that the PDF creation software does not downsample images during the PDF creation process, as this could degrade the quality of the image. For color and grayscale images, it is recommended that no compression be used; CCITT Group IV compression is recommended for bi-tonal images. The use of Alternates (a feature within PDF that allows for alternate images to be used for on-screen rendering and printing) is prohibited. Images consisting of multiple layers must be flattened before embedding into the PDF document. The properties of all layers should be marked as "visible" before flattening. This ensures that the complete image is visible to the examiner. この他、Patent Centerを利用する際のUSPTOが推奨するPDFガイドラインをご参照ください。 https://www.uspto.gov/patents/apply/applying-online/efs-web-pdf-guidelines

  • 先例的判断 Ex Parte Desjardins に基づく35 U.S.C. §101 適格性ガイダンスを強化 ーMPEP 改訂の事前告知を発表

    米国特許商標庁(USPTO)は、先日、審査基準書である Manual of Patent Examining Procedure (MPEP)の改訂に関する事前告知を発表し、特許適格性(subject matter eligibility)に関する最新の指針を明確化した。今回の更新は、先例的判断となった Ex Parte Desjardins  の審決を反映したものであり、特にコンピュータ機能の向上や技術分野への具体的な改善をどのように捉えるべきかを、連邦巡回控訴裁判所の Enfish, LLC v. Microsoft Corp.  の判旨を踏まえて整理している。 新たな指針では、技術的改良、コンピュータの動作向上、データ構造、学習モデル、その他応用技術に関する発明を審査する際、審査官はクレーム全体を総合的に評価し、明細書に記載された技術的進歩を適切に考慮することが求められると強調している。特許適格性の判断では依然として Alice/Mayo テストが適用されるが、その分析において、クレームが司法例外を実質的な応用へ統合しているかどうかを、技術的改善の内容と結びつけて評価する点が重要視される。 今回のMPEP改訂は、特許適格性と特許性(新規性・進歩性・記載要件)を明確に区別する意図を持ち、35 U.S.C. §§ 102、103、112 が引き続き発明の実体的特許性を判断する主要な規定であることも再確認している。また、改訂内容は昨日公表された「任意のSubject Matter Eligibility Declaration(SMED)」に関するガイダンスとも補完関係にあり、SMED が提出されたか否かにかかわらず、審査官が適格性分析を行う際の枠組みそのものを明確化するものとなっている。 改訂の範囲には、MPEP §2106 および関連セクションの更新、Step 2A Prong Two における技術的改善の評価についての詳細な説明、 Ex Parte Desjardins  を基にした応用技術・コンピュータ機能・構造化データ処理・学習システムに関する新しい事例の追加が含まれている。また、発明がどのように技術を改善しているかを判断する際の審査官の責任も明確化されている。 本ガイダンスは即日適用され、今後正式にMPEPへ組み込まれる予定である。USPTO は審査官向けの追加研修資料も準備しており、公衆にも公開される見込みである。 具体的な内容としては、 Ex Parte Desjardins  において審判部は、機械学習モデルの継続的学習に伴う「catastrophic forgetting(破滅的忘却)」と呼ばれる技術的課題に対し、出願人が示した具体的な解決策を技術的改善として評価した。審判部は、モデルが新たなタスクを学習しつつ、既存タスクに関する知識を保持する仕組みを明細書が詳細に開示している点を重視し、この点が単なる数学的概念にとどまらず、モデルの動作そのものを改善する技術的特徴であると認定した。特に「第二のタスクに対する性能を最適化しつつ、第一のタスクの性能を保護するためにパラメータを調整する」という工程が、明細書に開示された改善と一致する技術的要件としてクレーム全体に反映されていると判断した点は、本決定の核心である。 この判断は、連邦巡回控訴裁判所が Enfish, LLC v. Microsoft Corp.  および McRO, Inc. v. Bandai Namco Games America Inc.  で示した原則、すなわち「ソフトウェアによる論理構造やプロセスがコンピュータ機能を実質的に改善し得る」という考え方に基づいている。USPTOは今回の改訂において、明細書が開示する技術的改善の内容が、クレームの実際の構成に反映されているかどうかを審査官が厳格に評価する必要があると明確に示しており、単なる抽象的表現や結論的記載だけでは改善として認められないことも強調している。 さらに改訂では、MPEP §2106 系列の複数のセクションにわたり、技術的改善に関する判断基準が整理された。特に Step 2A Prong Two における「実質的応用への統合」の判断において、明細書が示す技術的進歩とクレームがどの程度整合しているかを検討することが重要である点が明確化されている。例えば Ex Parte Desjardins  では、モデルの学習方法自体が改善されている点、性能維持のためにパラメータを調整する仕組みがクレームに具現化されている点など、技術的特徴を総合的に評価する手法が示された。審査官は、クレームを過度に一般化して評価しないよう注意を払い、個々のステップが組み合わされた全体としての技術的効果を見落とさないよう求められている。 また、MPEP §2106.05(a) では、発明が特定の問題に対して特定の技術的解決策を提示しているかどうかが重要な観点であることが改めて強調された。これは DDR Holdings  や BASCOM  の判例に通じる考え方であり、単に抽象的概念を適用するだけでなく、技術的構成や特定の処理手法によって問題が解決されている場合、追加要素は「apply it」型の単なる適用指示には該当しないと判断され得る。 Ex Parte Desjardins  もこの枠組みに位置付けられ、破滅的忘却という技術的課題に対して具体的なモデル訓練手法を示した点が、技術的改善として認定された。 改訂に伴い、機械学習分野についての具体例も追加されており、連続学習システムにおける知識保持の改善や、パラメータ調整に基づく性能向上など、AI技術に特有の改善が特許適格性の判断においてどのように評価され得るかが示されている。これにより、AI・機械学習関連技術の審査における予見可能性が向上し、発明者や出願人にとってもより明確な指針が提供されることとなった。 本改訂は本メモランダムの発出と同時に効力を持ち、MPEPの正式な改訂版にも順次反映される予定である。USPTOは、審査官および一般向けに追加の研修資料を公開する方針であり、特許適格性評価の透明性向上と一貫性の確保を目的として取り組みを進めている。 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/memo-desjardins.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • 特許適格性に関する宣誓書(Subject Matter Eligibility Declarations:SMEDs)の取り扱い

    米国特許商標庁(USPTO)は本日、特許適格性に関する宣誓書(Subject Matter Eligibility Declarations:SMEDs)の取り扱いについて、審査官および出願人・代理人向けに二つの新たなガイダンス文書を公開しました。新任の長官である John A. Squires 氏は就任直後、分散型台帳技術および医療診断分野の特許二件に自ら署名し、急速に発展する応用技術分野においても、適切に要件を満たした発明は積極的に保護するという強い姿勢を示しました。また近時先例化された In re Desjardins  事件では、機械学習モデルの機能改善が「実際の技術的応用」として特許適格性を支持し得ることが明確化され、AI 技術の審査運用にも大きな影響を与えています。 こうした流れの中で発表された今回のガイダンスは、SMEDs の役割と運用方法を明確にするものです。審査官向けのメモランダムでは、SMEDs が任意提出の Rule 132 宣誓書として扱われ、提出された場合には技術的改善や出願時点の技術水準、または司法例外が実際の技術に統合されていることを示す事実などを、審査官が証拠として適切に評価しなければならないことが示されています。評価は「証拠の優越」基準に基づいて行われ、提出された証拠がクレームの技術的性質を支持する場合には、審査判断に実質的な影響を及ぼすものとなります。 一方、出願人・代理人向けのメモランダムでは、SMEDs を特許適格性の論点に専念した独立の宣誓書として提出することが望ましいとされ、適格性以外の論点と混在させると審査が不必要に複雑化する可能性が指摘されています。また、SMEDs は客観的事実に基づくものでなければならず、元の明細書に含まれない新規事項を補う目的で使用することはできません。あくまで、クレームに示された技術的特徴が実際に技術的改善をもたらしていることを客観的に示す補助的材料として位置付けられています。 これらのガイダンスは、特許適格性の審査手続を変更するものではなく、既存制度の枠内で証拠提出の方法と評価基準を明確化することに主眼があります。特に AI やソフトウェア、医療診断など、適格性の判断が難しい分野において、出願人が自身の技術的貢献を裏付ける実証的情報を提出しやすくなるとともに、審査官側も一貫性ある判断を行うための指針が提供されました。USPTO は今回のガイダンスを通じて、審査の透明性を高め、技術分野を問わず特許適格性の原則をより安定して適用することを目指しています。これらの文書は本日から即時適用され、審査官および一般向けの追加トレーニング資料も順次公開される予定です。 第一のメモランダム: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/smeds-applicants-practitioners.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= 米国特許商標庁(USPTO)は、Subject Matter Eligibility Declarations(SMEDs)に関する実務を明確化するため、Rule 132 に基づく宣誓書提出の最良の方法について新たなガイダンスを発表しました。本メモランダムでは、特許適格性(SME)に関する宣誓書は、他の論点、たとえば進歩性に関する二次的考慮事項や結合動機といった内容と混在させず、独立した文書として提出するべきであると推奨しています。併せて、審査官向けメモランダムも付属し、出願人が任意で提出できるSMEDの役割や審査官が取るべき対応が再確認されています。 USPTOは、SMEDsが特許適格性に関する証拠を提出するための特別な役割を担っていることを強調しています。特許適格性の判断では、クレームに記載された発明と提出される証拠との間に明確な関連性が求められます。SMEDsは、技術的改善が明細書にどのように開示され、それを当業者がどのように理解するかを示すための客観的資料として機能し、発明が米国特許法第101条の要件を満たすことを裏付ける重要な手段となります。また、SMEDはあくまで既存の明細書の内容を補強するためのものであり、新規事項の追加とみなされるような内容を含めることは許容されません。さらに、提出は適時に行われる必要があり、クレームの内容と密接に結びついていることが求められています。 本メモランダムは、SMEDs を他の証拠・意見と混在させることのリスクについても明確に説明しています。Rule 132 に基づく宣誓書は、複数の法的論点に関する拒絶を同時に扱うことは可能ですが、特許適格性に関わる証拠と、進歩性や動機付け、あるいは予想外の効果といった別の論点を一つの宣誓書に盛り込むと、審査官が証拠の範囲と重み付けを適切に判断することが難しくなる可能性があります。MPEPにおいても、特許適格性と進歩性に関する宣誓書は異なる目的と評価基準を持つことが明示されており、これらを分離して提出することで審査がより明確になり、審査官の判断を支援することにつながるとされています。 さらに、審査官向けメモランダムでは、提出されたSMEDsを含むすべての証拠と主張を丁寧に検討し、特許適格性の拒絶を評価するよう指示しています。もし特許適格性以外の論点とSMEDが一つの文書に混在している場合、審査官はSMEに関連する証拠を特定することが難しくなり、結果として宣誓書の証拠価値が十分に発揮されないおそれがあります。このような実務上の課題を回避するためにも、SMEDs の独立提出が望ましいと強調されています。 本ガイダンスは、USPTO自身の研修資料や実務用ツール、また連邦巡回控訴裁判所の判例とも整合する内容となっています。これらの資料はいずれも、宣誓書は扱う論点に応じて明確に構成されるべきであり、審査官が誤解なく評価できる形で提出することが重要であると示しています。また、多くの特許実務家のガイドラインにおいても、特許適格性と進歩性といった異なる法的評価基準を一つの宣誓書にまとめることは避けるべきとされており、それぞれに応じた宣誓書を別途用意する方が望ましいと推奨されています。 USPTOは本メモランダムを通じて、出願過程における証拠記録の明確化、審査の一貫性向上、そして適切な特許保護の促進を図っています。特許適格性に関するSMEDsを他の論点と分けて提出することで、証拠の関連性が明確になり、審査官の判断も容易となり、結果として宣誓書の説得力が高まることが期待されます。 第二のメモランダム: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/smeds-corps.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= 米国特許商標庁(USPTO)は、特許適格性(Subject Matter Eligibility:SME)の審査をより明確かつ一貫して行うため、Subject Matter Eligibility Declarations(SMEDs)の役割と審査官が取るべき対応について、新たなガイダンスを公表しました。本メモランダムでは、出願人が任意で提出できるSMEDsの意義を再確認するとともに、審査官がその内容を適切に評価するための基本的な考え方が示されています。 長官 John A. Squire 氏は就任直後、分散型台帳技術および医療診断に関する特許に署名し、これらの分野が長年直面してきた特許適格性の混乱に対して明確な姿勢を示しました。その後に発表された Appeals Review Panel の In re Desjardins  決定では、複数の機械学習タスクを維持しながら学習を進める技術が「抽象的なアイデアを実質的な技術的応用へ統合している」と判断され、Step 2 の要件を満たすとして101条拒絶が取り消されました。この決定では、機械学習モデルの動作そのものを改善する発明を特許適格と認めるべきであるとし、米国がAI分野で競争力を維持するためにも過度に広い101条拒絶を行うことへの警鐘が鳴らされています。Squires 長官はこの判断を先例化し、AIやデータ処理技術などにおける性能向上が特許適格性の評価において重要な意味を持つことを明確にしました。 今回の審査官向けメモランダムでは、出願人が提出できるSMEDsの位置付けが改めて整理されています。SMEDs は Rule 132 に基づく既存の宣誓書制度の一部であり、特許適格性に関連する事実を明確に記録するための任意の手段として扱われます。提出された宣誓書は、審査官がクレームの技術的内容を理解し、発明が抽象的な概念を超えて具体的な技術的改善を実現しているかを判断する際に役立つものであり、審査記録の透明性と精度を高める役割を担います。審査官は、宣誓書が形式要件を満たしていれば、提出された証拠を記録全体の一部として適切に評価し、特許適格性の判断を「証拠の優越(preponderance of the evidence)」基準に基づいて行う必要があります。 SMEDs が審査において有効となるのは、クレームに記載された発明と宣誓書に含まれる証拠との間に明確な関連性が存在する場合です。SMEDs では、当業者が明細書をどのように解釈するか、発明が技術分野におけるどのような改善をもたらすのか、また出願時点の技術水準がどのようであったかといった事実が示されることがあります。これらの証拠は、抽象的なアイデアに対する技術的応用の有無、コンピュータ機能の改善、ニューラルネットワークの性能向上、または特定の治療・予防方法における具体的適用などを示す場面で特に有用となります。ただし、宣誓書で新たな技術内容を補うことは許されず、あくまで出願時点で明細書が示していた情報を裏付ける事実を提供するものでなければなりません。 審査官は提出されたSMEDsを他の証拠と併せて総合的に評価し、適格性の判断が維持される場合でも、撤回される場合でも、その理由を明確に記録することが求められています。メモランダムでは、SMEDs が特許適格性に関する疑問点を補完し、発明の技術的意義をより明確に示すものとして活用できることが強調されています。特にAI・ソフトウェア、医療診断、データ処理など、新興技術領域における特許適格性判断の複雑さを踏まえ、SMEDs は発明の技術的貢献を丁寧に示すための重要な手段となり得ます。 今回のガイダンスは新たな審査手続を導入するものではなく、既存の規則とMPEPに基づき、審査官がSMEDsを適切に評価するための理解を深めることを目的としています。USPTOは、審査官向けの研修資料や技術センターごとの実務支援ツールを通じて、特許適格性審査の一貫性と透明性を高める取り組みを続けており、本メモランダムもその一環として位置づけられています。

  • 史上最長の政府閉鎖を経て、米国特許商標庁長官からのメッセージ

    特許庁長官メッセージ ジョン・A・スコイヤーズ 米国特許商標庁(USPTO)は、連邦政府全体の業務再開を心より歓迎いたします。まず、休暇なしで職務を全うし、国を守り、安全を支えてくださった皆様に深く感謝申し上げます。 その一方で、USPTOはこの43日間も変わらず通常どおり業務を継続し、むしろ加速させることができました。これは、すべての職員の皆さまの専門性、忍耐力、そして揺るぎない献身のおかげです。私たちは、連邦政府の中で唯一、完全な業務能力を維持し、アメリカのイノベーションを止めることなく支え続けました。 USPTOが閉庁期間中も業務を継続できた背景には、慎重な財務管理と透明性の高い報告、そして手数料収入によって形成された強固な予備資金があります。新年度開始時点で10億ドル強あった予備資金は、閉庁期間終了時には約6億ドルとなりましたが、これにより12月24日まで、そして必要に応じてそれ以降も業務を継続できる体制を確保することができました。日々のキャッシュフロー分析に基づく堅実な運営は、私たちに寄せられる発明家・企業・起業家の皆様の信頼に応えるものです。 この期間、USPTOは単に業務を維持しただけではなく、大きく前進しました。特許部門では「ASAP! AI-Assisted Search Pilot」を開始し、クレームセット審査の効率化を進め、数万件規模のバックログ削減を実現しました。商標部門では9万2千件を超える出願や多数の更新案件を処理し、米国の商取引とブランド活動の停滞を防ぎました。さらに組織全体でも、出社体制の移行、新規審査官のオンボーディング、FY26の業績評価制度の改善、そしてFY25の業績賞与の早期支給開始など、内部強化を着実に進めています。 この数週間で明らかになったのは、USPTOを支える基盤が「レジリエンス」と「創意工夫」であるということです。どのような状況下でも、私たちは米国のイノベーションを守り育てる役割を誇りを持って果たし続け、ステークホルダーからも高い信頼を得ています。 通常業務が再開された今、私たちはこの勢いをさらに発展させていくことでしょう。職員の皆さまが示した専門性と団結力こそ、USPTOの真の強みです。イノベーションは止まりません。私たちもまた歩みを止めることはありません。 ジョン・A・スコイヤーズ 米国商務省 知的財産担当次官米国特許商標庁(USPTO)長官 今回の長官メッセージは、前例のない政府閉鎖期間においても、USPTOが信念と責任感を持って業務を継続したことを強く示すものです。特に、10億ドルを超える予備資金を有し、閉鎖後も約6億ドルを残した堅実な財務運営は、手数料で成り立つ独立運営機関としてのUSPTOの強みを象徴しています。また、閉庁期間中にも関わらず、特許審査の新たなAIパイロットプログラムの開始、商標出願処理の安定した推進、バックログ削減など「止まらないイノベーション支援」を体現した点は注目すべき成果です。 本メッセージから伝わってくるのは、単なる業務継続以上に、USPTOが国全体のイノベーション・エコシステムを支える重要な機関として、強い使命感と機動力を備えているということです。長官は、全職員が一丸となって難局を乗り越えたことに深い感謝を示すとともに、今後の業務に対しても揺るぎない自信と期待を寄せています。

  • USPTO特集:特許審査官の役割とFY26 PAP改訂

    米国特許商標庁(USPTO)の特許審査官は、発明の保護と技術進歩の促進において中心的な役割を担っている。出願書類の形式や内容を確認し、先行技術を調査した上で、特許法第35編の要件に照らして特許性を判断することが彼らの基本的な職務である。これにより、知的財産制度の信頼性を確保し、イノベーションや投資、雇用の創出といった経済的効果にも直接的に寄与している。   2026会計年度(FY26)から施行される新しい特許審査官の業績評価計画(PAP)では、評価基準の重点が明確に見直された。従来の「生産性」「品質」「ドケット管理」「プロフェッショナリズム/ステークホルダー対応」の4要素のうち、「生産性」と「品質」の比重がいずれも40%へ引き上げられ、評価上の重要度が大幅に高まっている。従来95%以上で「達成」とされていた業績水準も、FY26では100%以上が「十分な達成(Fully Successful)」と定義され、審査官にはより厳密で透明性の高い成果管理が求められるようになった。この改訂の狙いは、審査の迅速化だけでなく、初期段階から高品質な審査結果を生み出す文化を根付かせる点にある。   この中でも特に注目すべき変更点が 「審査官インタビュー(Examiner Interview)」に関する規定である。 従来のFY25制度では、審査過程でインタビューを行えば一律で1時間分の属性時間が付与されていたが、 FY26では「新規出願または継続審査請求(RCE)、あるいは意匠のCPA(Continued Prosecution Application)」ごとに1時間と定められた。 つまり、 案件単位で時間が管理される仕組みに改められ、追加のインタビューを行うには監督審査官(SPE)の承認が必要となる 。これは、審査官の業務負担を考慮しつつ、インタビューをより効果的で目的志向的な手段として位置づける狙いがある。実際、2025年度の統計では、許可・放棄・再出願に至った案件のうち、約6割にインタビューが行われており、今や面談は審査の中核的プロセスになっている。   このような背景のもと、出願人や代理人はインタビューの質とタイミングを戦略的に設計する必要がある。インタビューの実施タイミングについては、 従来のように非最終拒絶(Non-Final Office Action)の直後に一律で行うのではなく、今後は案件の内容や応答方針に応じて慎重に判断する必要がある 。非最終拒絶後すぐに面談を設定することが必ずしも最善とは限らず、クレーム補正を行わずに反論のみで応答する場合には、拒絶理由や引用文献の理解に相違がないかを審査官と直接確認し、出願人の技術的立場を丁寧に説明する場としてインタビューを活用するのが効果的である。一方で、同じ拒絶理由が繰り返された場合には、審査官側に誤解や見落としがある可能性も考えられるため、面談によって認識のずれを正すことが重要となる。また、secondary consideration、すなわち予期しない効果(unexpected results)など補足的な証拠を提示して進歩性の主張を補強する必要があるケースでは、書面のみで伝わりにくい技術的背景を説明し、証拠の位置づけを明確にするためのインタビューが極めて有効である。このように、FY26ではインタビュー時間が案件ごとに限られていることを踏まえ、単に非最終拒絶の直後に面談を行うのではなく、応答方針、審査経過、補足証拠の有無などを総合的に検討し、ケースバイケースで最も効果的なタイミングを選択することが、戦略的な特許実務の鍵となる。   さらに、インタビューを実りあるものにするためには、 1時間という限られた時間を最大限に活用する準備が欠かせない。事前に目的を一つに絞り込み、議題と所要時間を提示して臨むことが望ましい。 たとえば、争点が明確であれば「どの補正案が許容可能か」「引用文献のどこが問題なのか」といった具体的な質問を投げかけることができる。審査官が最も重視するのは、明確で説得力のある論理展開と、発明の中核的特徴を技術的・法的観点の両面から説明する能力である。   FY26では、審査官が1件ごとに確保できるインタビュー時間が限られるため、漫然とした議論では成果につながらない。したがって、面談では「この論点に合意が得られれば、この補正案を提出する」といった条件付き提案を用意しておくとよい。審査官の理解を深める資料(構成比較表や効果実証データなど)を簡潔に示すことで、会話を論点中心に保つことも重要である。   また、特許審査高速化制度(PPH)案件の場合は、他国の特許庁で許容済みのクレームが含まれているため、米国基準との整合性確認が主な目的となる。インタビューでは、他庁の審査結果を踏まえた迅速な合意形成を意識すると効果的である。   このように、FY26の制度下では、出願人側にも「1件につき1時間」の面談をいかに成果につなげるかという“戦略的マネジメント”が求められている。早期の論点整理と合意形成、そして補正方針を事前に明確化したうえで臨むことが、審査官との対話を成功に導く鍵である。審査官インタビューは単なる手続きではなく、出願の方向性を定める最も重要な交渉の場であり、その準備とタイミングが最終的な特許付与のスピードと確実性を左右する時代になったといえる。 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/USPTO-Hour-External-FY26-Examiner-PAP-Changes.pdf

  • IDSサイズ料金に関するガイダンス

    2025年1月19日より新料金が施行されました。下記、USPTOは料金に関する概要を掲載しています。 https://www.uspto.gov/learning-and-resources/fees-and-payment/summary-2025-patent-fee-changes 特に、IDSについてのQ&A及びガイダンスに掲載されています。 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/quick-reference-guide-to-the-information-disclosure-statement-ids.pdf 1. IDSサイズ料金とは何ですか? IDSサイズ料金は新しい料金であり、一部のIDS提出時に必要となります。この料金は、37 CFR 1.97に基づいて提出されたIDSが、申請者または特許権者によって提供されたアイテムの累計数を一定の閾値(50、100、および200)を超える場合に課されます。この料金の要件は、出願においては§ 1.97(a)、再審査手続きにおいては§ 1.555(a)に規定されており、料金額は§ 1.17(v)に記載されています。詳細については、「FY 2025特許料金設定ルール」(以下「料金ルール」)の前文(ページ91923-26)およびコメントへの回答(ページ91950-52)を参照してください。 2. これらの新しいIDS要件の発効日はいつですか? IDSサイズ料金規則(37 CFR 1.17(v))およびIDSサイズ料金と料金表明を要求するための§§ 1.97(a)、1.98(a)(4)、および1.555(a)の改正は、 2025年1月19日 に発効します。2025年1月19日以降に§ 1.97に基づいて提出されたIDSは、新しい規則(つまり、サイズ料金およびサイズ料金表明要件)の対象となります。 3. IDSサイズ料金表明とは何ですか? 2025年1月19日以降に37 CFR 1.97に基づいて提出されるすべてのIDSは、「IDSサイズ料金表明」と呼ばれる書面での表明を必要とします。この表明は明確であり、以下のいずれかを示す必要があります: (1) IDSが適切なIDSサイズ料金を伴っていること。 (2) IDSサイズ料金が不要であること。 この要件は§ 1.98(a)(4)に規定されています。申請者および特許権者は、USPTOが提供するフォーム(SB/08 – Patent CenterおよびSB/08c)を使用してIDSサイズ表明を行うことが推奨されます。 4. 発効日前に提出された出願も新しいIDS規則の対象となりますか? はい。ただし、それは料金ルールの発効日以降に提出されたIDSに限ります。 5. この新しいIDSサイズ料金は、37 CFR 1.17(p)に規定されているIDS料金に代わるものですか? いいえ。37 CFR 1.17(p)に規定されているIDS料金は、通知書の送付日など特定の審査イベント後に提出されたIDSに適用される既存の要件です。IDSサイズ料金は、新たに導入されたものであり、IDSが申請者または特許権者によって提供されたアイテムの累計数を一定の閾値を超える場合に課されます。 2025年1月19日以降に提出されるIDSについては、審査段階や提出されたアイテムの数に応じて、IDS料金がかからない場合、1つのIDS料金が課される場合、または両方のIDS料金が課される場合があります。例えば、料金ルールの発効日以降で通知書送付日など特定の審査イベント後に提出されたIDSは、§ 1.17(v)に基づくIDSサイズ料金と§ 1.17(p)に基づくIDS料金の両方を課される場合があります。§ 1.17(p)に基づくIDS料金に関連する審査段階については、MPEP 609.04(b)を参照してください。 混乱を避けるために、IDS関連のフォームおよび段落は、§ 1.17(p)に基づく既存のIDS料金を「IDSタイミング料金」とし、§ 1.17(v)に基づく新しいIDSサイズ料金を「IDSサイズ料金」と呼ぶように修正されました。 6. この新しいIDSサイズ料金表明は、37 CFR 1.97(e)で規定されているIDS表明に取って代わるものですか? いいえ。37 CFR 1.97(e)で規定されているIDS表明は、通知書送付日などの特定の審査イベント後に提出されたIDSの既存の要件です。IDSサイズ料金表明は、料金ルールの発効日以降に§ 1.97に基づいて提出されるすべてのIDSに必要な別個の表明です。 料金ルールの発効日以降に提出されるIDSでは、提出された審査段階に応じて、IDSサイズ料金表明のみが必要になる場合、またはIDSサイズ料金表明と§ 1.97(e)で規定されたIDS表明の両方が必要になる場合があります。たとえば、料金ルールの発効日以降、通知書送付日など特定の審査イベント後に提出されたIDSは、§ 1.98(a)(4)に基づくIDSサイズ料金表明と§ 1.97(e)で規定されたIDS表明の両方を必要とします。§ 1.97(e)で規定されたIDS表明に関連する審査段階については、MPEP 609.04(b)を参照してください。 混乱を避けるために、IDS関連のフォームおよび段落は、§ 1.97(e)で規定された既存のIDS表明を「IDSタイミング表明」とし、新しいIDSサイズ料金表明を「IDSサイズ料金表明」と呼ぶように修正されました。 7. 適切なIDSサイズ料金表明とは何ですか? 特定の文言は要求されていませんが、表明は明確であり、以下のいずれかを示す必要があります:(1) IDSが適切なIDSサイズ料金を伴っていること。(2) IDSサイズ料金が不要であること。適切なIDSサイズ料金を明記する必要があります。以下は、適切なIDSサイズ料金表明の非限定的な例です: 「現時点では37 CFR 1.17(v)に基づくIDSサイズ料金は必要ありません。」 「このIDSは37 CFR 1.17(v)(1)に基づくIDSサイズ料金を伴います。」 「このIDSは37 CFR 1.17(v)(2)に基づくIDSサイズ料金を伴います。」 「このIDSは37 CFR 1.17(v)(3)に基づくIDSサイズ料金を伴います。」 預託口座への料金の請求を許可する表明は、特定のIDSサイズ料金を明確に特定しない限り、適切なIDSサイズ料金表明とはみなされません。適切なIDSサイズ料金表明と料金請求の許可を組み合わせた例としては、次のようなものがあります:「2026年7月1日に提出されたIDSのために§ 1.17(v)(2)料金を預託口座XX-XXXXXに請求することを長官に許可します。」 一般的な預託口座への料金請求の許可は、新しい§ 1.98(a)要件に基づく適切な書面による表明とはみなされません。預託口座の認可手続きについては、37 CFR 1.25およびMPEP 509.01を参照してください。 ユーザーは、USPTOが提供するフォーム(SB/08 – Patent CenterおよびSB/08c)を使用することを推奨します。これらのフォームには、適切な表明文言が含まれています。 8. IDSサイズ料金および/またはIDSサイズ料金表明を提出するために使用できるフォームは何ですか? 申請者および特許権者には、IDS提出のために「情報開示書類-特許センター-自動ロードバージョン」(SB/08-Patent Center)の使用が強く推奨されます。SB/08-Patent Centerは包括的なフォームであり、特許および非特許文献の引用、IDSタイミング表明の作成とIDSタイミング料金の支払い、IDSサイズ料金表明の作成とIDSサイズ料金の支払いを行うことができます。 もう1つの選択肢として、新しい「情報開示書類サイズ料金-37 CFR 1.98に基づく書面による表明」(SB/08c)フォームがあります。このフォームでは、適切なIDSサイズ料金表明を選択し、IDSサイズ料金を支払うことができます。SB/08cフォームは、PTO/SB/08a(特許文献の引用用)および/またはPTO/SB/08b(非特許文献の引用用)またはそれに相当するものと併用するために設計されています。新しいフォームには、適切なIDSサイズ料金およびサイズ料金表明を選択するための指示も含まれています。 これらのフォームはUSPTOのウェブサイト( www.uspto.gov/patents/apply/forms )で入手可能です。申請者および特許権者がUSPTOフォームの使用を義務付けられるわけではありませんが、使用が強く推奨されています。 9. どのIDSサイズ料金が必要かをどのように判断しますか? IDSサイズ料金は、37 CFR 1.97に基づき、出願者または特許権者が提供するアイテムの累計数が一定の閾値(50、100、200)を超える場合に必要です。適用される料金の階層は、出願者または特許権者が提供するアイテムの累計数(現在のIDS提出で提供されたアイテムを含む)に基づいて決定されます。 § 1.17(v)(1)に基づく 第1階層IDSサイズ料金 は、IDSが累計数を50を超え、100以下にする場合に適用されます。 § 1.17(v)(2)に基づく 第2階層IDSサイズ料金 は、IDSが累計数を100を超え、200以下にする場合に適用されます。 § 1.17(v)(3)に基づく 第3階層IDSサイズ料金 は、IDSが累計数を200を超える場合に適用されます。 IDSの提出が、指定された閾値の1つ以上を超える原因となった場合にのみ、IDSサイズ料金が発生します。特定のIDSが提出される前に累計数がすでに1つの閾値を超えている場合、その特定のIDSは累計数をより高い閾値に超えさせない限り、IDSサイズ料金は発生しません。 10. アイテムをカウントし、適切なIDSサイズ料金(該当する場合)を決定し、適切なIDSサイズ料金表明を作成する責任は誰にありますか? 出願者または特許権者が、提供するアイテムの数をカウントおよび追跡し、適切なIDSサイズ料金とIDSサイズ料金表明を決定する責任を負います。 USPTOの職員は、アイテム数を追跡する必要はなく、またその義務もありません。 11. 累計数にはどのようなアイテムが含まれますか? 申請者または特許権者が提供した各アイテム(特定のアイテムの各インスタンスを含む)は、情報の累計数に含まれます。この文脈で「提供された」とは、37 CFR 1.98(a)(1)に基づき申請者または特許権者がIDSに引用したアイテムを指します(料金ルール91924ページを参照)。IDSにアイテムのコピーが添付されているかどうかは関係ありません。たとえば、米国特許がIDSに引用された場合、特許のコピーを提出する必要がないにもかかわらず、その特許は累計数に含まれます。 累計数には、他者(申請者/特許権者以外)がファイルに追加したアイテムは含まれません。たとえば、§ 1.290に基づく第三者提出で引用されたアイテムや、再審査で第三者請求者が提供したアイテムは含まれません。また、親出願で引用されたアイテムも、子出願で再提出されない限り含まれません(料金ルール91924ページを参照)。さらに、関連する先行技術イニシアチブなど、オフィスプログラムの一環としてオフィスがファイルに追加したアイテムも累計数に含まれません。 12. 重複するアイテムは累計数に二重にカウントされますか? はい。特定のアイテムの各インスタンスが情報の累計数に含まれます。たとえば、申請者が特定のアイテム(例: マリー・キュリーが執筆した論文)を同じIDSに2回リストした場合、それぞれがカウントされます。同様に、申請者が同じ出願内で複数のIDSに同じアイテムをリストした場合も、それぞれがカウントされます。 ただし、申請者または特許権者がIDSに提供した特定のアイテムが、非適合のために考慮されなかった場合、その特定のアイテムが同じ出願または特許内で2回目に提供されても再度カウントされることはありません(料金ルール91924ページおよび本書の次のセクションの例3を参照)。 13. 累計数はどのように決定されますか? 累計数は、各出願または特許ごとに個別に決定されます。出願については、累計数は出願時点で始まり、発行まで増加を続けます。継続出願、再発行出願、および継続審査申請(CPA)のような新しい出願は、累計数がゼロから始まります。一方で、RCE(継続審査請求)を提出しても累計数はリセットされません。これは、RCEが新しい出願の提出とはみなされないためです。 発行後の手続き(例: 補充審査や再審査)の場合、累計数はゼロから始まります。 14. 新しいIDS規則の発効日前に提出された出願のアイテムはどのようにカウントしますか? 出願については、累計数は出願時点で始まり、発行まで増加を続けます。そのため、発効日前に申請者または特許権者が提供したアイテムは、新しいIDS規則の発効日以降に提出されるIDSについてIDSサイズ料金が必要かどうかを判断する際に、累計数の一部として考慮されるべきです。 もし累計数が発効日前にすでに閾値を超えている場合、発効日以降に行われたIDS提出が累計数をより高い閾値に超えさせない限り、IDSサイズ料金は発生しません。新しいIDS規則の発効日前に保留中であった出願または発行後の手続きに関連する状況については、例6~9を参照してください。 15. 新しいIDS規則の発効日前に、申請者または特許権者が出願または発行後の手続きで200を超えるアイテムをすでに提供していた場合、発効日以降に追加のアイテムを提供するIDSを提出するとIDSサイズ料金は発生しますか? いいえ。累計数が発効日前にすでに200アイテムの最大閾値を超えている場合、発効日以降に提出されたIDSはIDSサイズ料金を発生させません。ただし、提出されたIDSには、料金が不要であることを示すIDSサイズ料金表明を含める必要があります。例9を参照してください。 16. IDSサイズ料金表明が含まれていないIDSを提出した場合はどうなりますか? 新しいIDS規則の発効日以降に提出されたIDSにIDSサイズ料金表明が欠けている場合、そのIDSは37 CFR 1.98(a)(4)に準拠していないと見なされます。この場合、IDSはファイルに保存されますが、審査の対象にはなりません。 17. IDSサイズ料金表明に記載されたIDSサイズ料金が支払われていない場合はどうなりますか? IDSサイズ料金表明で示されたIDSサイズ料金が欠けているか不足している場合、オフィスの職員は預託口座の認可を確認します。オフィスが十分な資金を持つ預託口座への請求を適切に認可されている場合、オフィスは指定されたIDSサイズ料金をその口座から請求し、MPEP 609に基づく既存の手続きに従ってIDSの審査を継続します。 しかし、オフィスが資金が十分な預託口座に料金を請求できない場合、そのIDSは37 CFR 1.97(a)に準拠していないと見なされます。この場合、IDSはファイルに保存されますが、審査の対象にはなりません。 18. 同じ出願内で複数のIDSを提出した場合、複数のIDSサイズ料金を支払う必要がありますか? 場合によります。37 CFR 1.97に基づくIDS提出(および再審査手続きで特許権者に関連する個人による§ 1.555(a)に基づくIDS提出)が累計数を閾値(50、100、200)以上にする場合、IDSサイズ料金が必要です。 例4で示されるように、2回目またはそれ以降のIDSが、以前に支払ったIDSサイズ料金でカバーされている累計数を超えない場合、追加のIDSサイズ料金は発生しません。一方、例5で示されるように、2回目またはそれ以降のIDSが累計数をより高い閾値に超えさせる場合、追加のIDSサイズ料金が必要になります。 19. 1つの出願または発行後の手続きで発生する最大のIDSサイズ料金はいくらですか? 1つの出願または発行後の手続きで発生する最大のIDSサイズ料金は、37 CFR 1.17(v)(3)に基づく第3階層料金の金額です。§§ 1.17(v)(2)および(v)(3)に基づく第2および第3階層料金の金額は、現在の適用料金額と以前に支払われた料金額との差額です。 例として、2025年2月に申請者が60アイテムを引用する最初のIDSを提出し、§ 1.17(v)(1)に基づく第1階層IDSサイズ料金を支払いました。2025年4月に申請者がさらに50アイテムを引用する2回目のIDSを提出し、累計数を110アイテムにしました。この2回目のIDSでは、§ 1.17(v)(2)に基づく第2階層IDSサイズ料金の支払いが必要になります。この場合、申請者は§ 1.17(v)(2)に規定されている現在の料金額と、以前に§ 1.17(v)(1)に基づいて支払った金額との差額を支払うことになります。 20. Quick Path Information Disclosure Statement(QPIDS)プログラムで提出する際にIDSサイズ料金表明を忘れた場合、または(該当する場合)IDSサイズ料金の支払いを忘れた場合はどうなりますか? IDS提出にIDSサイズ料金表明および適用されるIDSサイズ料金が欠けている場合、そのIDSは37 CFR 1.97および1.98に準拠していない、すなわち「§§ 1.97/1.98の不備」があると見なされます。このような不備のあるIDSがQPIDSプログラムで提出された場合、提出物は§§ 1.97/1.98の不備のためQPIDSプログラムの要件を満たしていません。この場合、不備のあるIDSは考慮されるべきではなく、オフィスは条件付きRCE(継続審査請求)を入力することを予期すべきです。申請者の提出がQPIDSプログラムの要件を満たしていないためです。 条件付きRCEが入力されると、申請者が不備を修正するために§ 1.97(b)(4)に基づく期間が提供されます。不備を修正する適切なIDSを速やかに提出しない場合、次のオフィスアクションは再許可になる可能性が高いです(不備のあるIDSは考慮されるべきではないため)。 QPIDS送付書フォーム(SB/09)は、QPIDSプログラムに準拠するためにIDSサイズ料金表明および適用されるIDSサイズ料金が必要であることを明記するように改訂されています。 例 以下の例は網羅的なものではありませんが、§ 1.17(v) に基づく新しい手数料の支払いが必要かどうかについて疑問が生じると予想される最も一般的な状況を示しています。以下に示す手数料金額は、2025年1月19日現在のものです。§ 1.17(v) に基づく手数料については割引は適用されません。以下の例1~5は、手数料規則(Fee Rule)91925ページから引用しています。例6~9は新たに追加されたもので、改正前のIDS規則の施行日以前に係属していた出願または特許発行後の手続において生じる可能性のある状況を扱っています。 例1:累積件数が手数料の閾値未満の単一IDS提出 出願人が審査過程中に30件の情報項目を含む単一のIDSを提出した場合、IDSサイズ手数料は発生しません。IDS提出時に、出願人はIDSサイズ手数料が不要である旨を証明します。 例2:累積件数が手数料の閾値を超える単一IDS提出 出願人が審査過程中に101件の情報項目を含む単一のIDSを提出した場合、100件を超え200件以下に該当するため、§ 1.17(v)(2) に基づく500ドルの手数料が発生します。IDS提出時に、出願人は§ 1.17(v)(2) の手数料が必要である旨を証明し、手数料を支払う必要があります。 例3:考慮拒否された項目の再提出 出願人が最初に49件の情報項目を含むIDSを提出した場合、IDSサイズ手数料は発生しません。この時点で出願人はIDSサイズ手数料が不要である旨を証明します。審査官が最初のIDSを評価した際、出願人が提出したある文献(マリー・キュリー著の学術論文)のコピーが不鮮明で判読不能であることが判明したため、審査官はキュリー論文を考慮しませんでした。その後、同一の出願で出願人が2件の情報項目(前回と同じキュリー論文および新たに引用した1件)を含む第2のIDSを提出しました。キュリー論文は以前に審査官の前に提出され、非適合として考慮が拒否されたため、再提出しても再度カウントされません。したがって、第2のIDS提出後の累積情報項目数は50件(最初のIDSの49件+第2のIDSの新規1件)となり、IDSサイズ手数料は不要です。第2のIDS提出時に、出願人はIDSサイズ手数料が不要である旨を証明します。 例4:同一の手数料でカバーされる複数のIDS提出 出願人が最初に61件の情報項目を含むIDSを提出した場合、50件を超え100件以下に該当するため、§ 1.17(v)(1) に基づく200ドルの手数料が発生します。提出時に出願人は§ 1.17(v)(1) 手数料が必要である旨を証明し、手数料を支払います。その後、同一出願で出願人が10件の情報項目を含む第2のIDSを提出した場合、累積情報項目数は71件になります。しかし、累積件数がすでに支払済みの§ 1.17(v)(1) 手数料の範囲内にあるため、追加手数料は不要です。出願人は第2のIDS提出時にも証明を含める必要がありますが、この場合、IDSサイズ手数料が不要である旨を証明することができます。 例5:追加手数料が必要となる複数のIDS提出 出願人が最初に51件の情報項目を含むIDSを提出した場合、50件を超え100件以下に該当するため、§ 1.17(v)(1) に基づく200ドルの手数料を支払い、この旨を証明します。その後、同一出願で出願人が50件の情報項目を含む第2のIDSを提出した場合、累積情報項目数は101件となります。出願人は100件を超え200件以下に該当する§ 1.17(v)(2) に基づく500ドルの手数料を証明し、すでに支払った200ドルを差し引いた残額300ドルを支払う必要があります。さらに、同一出願で出願人が100件の情報項目を含む第3のIDSを提出した場合、累積情報項目数は201件になります。この場合、出願人は200件を超える場合に該当する§ 1.17(v)(3) に基づく800ドルの手数料を証明し、すでに支払った500ドルを差し引いた残額300ドルを支払う必要があります。したがって、この例では、出願人は出願中に提出した3つのIDSに対して合計800ドルのIDSサイズ手数料を支払うことになります。 例6:最終規則の施行日前に出願された出願におけるその後のIDS提出;累積件数が最初の閾値を超えても手数料不要の場合 手数料規則の施行日前に、出願人が55件を引用する最初のIDSを提出した場合、施行日前の提出であるため手数料は発生しません。施行日後に、出願人が10件を引用する第2のIDSを提出しました。出願人が提供した情報項目の累積件数は65件になります。しかし、第2のIDSにより累積件数が規則で定められた閾値(50、100、200)を新たに超えたわけではないため、手数料は発生しません。出願人は、第2のIDSにおいても手数料が不要である旨のIDSサイズ手数料声明を含める必要があります。 例7:最終規則の施行日前に出願された出願におけるその後のIDS提出;第1段階のIDSサイズ手数料が必要な場合 施行日前に、出願人が35件を引用する最初のIDSを提出しました。施行日前の提出であるため手数料は発生しません。施行日後に、出願人が30件を引用する第2のIDSを提出しました。累積件数は65件になります。この場合、累積件数が最初の閾値(50件)を超えたため、§ 1.17(v)(1) に基づく200ドルの手数料が発生します。第2のIDS提出時に、出願人は§ 1.17(v)(1) 手数料が必要である旨を証明し、手数料を支払う必要があります。 例8:最終規則の施行日前に出願された出願におけるその後のIDS提出;第2段階のIDSサイズ手数料が必要な場合 施行日前に、出願人が70件を引用する最初のIDSを提出しました。施行日前の提出であるため手数料は発生しません。施行日後に、出願人が40件を引用する第2のIDSを提出しました。累積件数は110件になります。この場合、累積件数が第2の閾値(100件)を超えたため、§ 1.17(v)(2) に基づく500ドルの手数料が発生します。第2のIDS提出時に、出願人は§ 1.17(v)(2) 手数料が必要である旨を証明し、手数料を支払う必要があります。なお、この出願において以前にIDSサイズ手数料を支払っていないため、全額500ドルを支払う必要があります。 例9:最終規則の施行日前に出願された出願におけるその後のIDS提出;累積件数が第3閾値を超えても手数料不要の場合 施行日前に、出願人が205件を引用する最初のIDSを提出しました。施行日前の提出であるため手数料は発生しません。施行日後に、出願人が10件を引用する第2のIDSを提出しました。累積件数は215件になります。しかし、第2のIDSにより累積件数が規則で定められた閾値(50、100、200)を新たに超えたわけではないため、手数料は発生しません。出願人は、第2のIDSにおいて手数料が不要である旨のIDSサイズ手数料声明を含める必要があります。

  • USPTO、AI発明の特許適格性を再定義 ― Ex parte Desjardinsを先例指定、スコワーズ長官が“三本柱”を提示

    2025年10月31日、ジョン・A・スコワーズ米国特許商標庁(USPTO)長官はAIPLA年次総会で講演を行い、就任からわずか5週間で進めてきた数々の改革と、AI時代の特許制度の新たな方向性を示した。 講演の中でスコワーズ長官は、AIを特許庁運営と特許制度そのものの両面で中心的な推進力と位置づけ、USPTOが「イノベーションの中央銀行(Central Bank of Innovation)」として再出発していることを強調した。彼は、特許を「ソフトドル資産」と捉え、出願人と審査官の関係を対立的なものではなく「取引的関係」として再定義した。すなわち、出願人が開示(disclosure)を提供し、代わりに排他的権利(exclusivity)を得るという憲法上の「取引」であり、AI技術の活用により、この取引の透明性と信頼性を高めることが可能になると述べた。 講演ではまた、庁内改革の成果も示された。スコワーズ長官は、AI支援型自動検索プログラム「ASAP!(AI-assisted Automated Search Pilot)」をはじめ、クレーム審査を迅速化する「Streamlined Claim Set Pilot Program」などを導入し、審査官の業務効率と品質を向上させたことを報告した。出願未審査件数は半年で約5万件減少し、商標部門では史上最短の審査期間を達成したという。AIを活用して先行技術を迅速に特定することで、「より強い特許をより早く」生み出す環境を整備したと説明した。 スコワーズ長官の講演の核心は、特許適格性(patent eligibility)に関する新しい指針の提示であった。彼は、特許適格性判断を明確化するための「三本柱(Three Pillars of Eligibility)」を示し、これに基づく運用を今後の指針とする考えを明らかにした。第一の柱は 35 U.S.C. §100(b)  に基づく「既知技術の新しい用途」の保護であり、第二の柱は Enfish判決  に代表される「データ構造や論理的プロセスを通じたソフトウェア技術の改良」である。第三の柱は 「Something More, Something Morse」  という理念で、抽象的な原理やアルゴリズムそのものではなく、「技術的適用」や「構造的改善」といった実質的な発明要素を求めるというものである。長官はサミュエル・モールスの電信発明を例に挙げ、抽象的な自然法則を超えて、情報伝達の仕組みを具現化した点こそが特許適格性の核心だと説明した。 この「三本柱」の理念は、USPTOが2025年9月26日に 先例(precedential)として指定した「Ex parte Desjardins, Appeal No. 2024-000567 (ARP Sept. 26, 2025)」判決にも具体的に表れている。この審判では、機械学習モデルの継続学習(continual learning)を改良する発明が問題となり、従来の審判部が新たに追加した 35 U.S.C. §101 に基づく拒絶を、再審査を担当した 上訴審査パネル(Appeals Review Panel; ARP) が覆した。ARPは、当該発明が単なる数学的アルゴリズムにとどまらず、AIモデルの性能と効率を向上させる技術的改良(technological improvement)を実現していると判断した。さらに、AI技術のように論理構造やプロセスによって実現される改良は、物理的特徴に基づかなくても特許適格であるという Enfish判決 の先例に基づき、請求項全体を「実用的な適用(practical application)」として認定した。パネルはまた、「AI関連発明を一律に抽象的概念として排除することは、米国の技術的リーダーシップを危うくする」と警鐘を鳴らし、AI発明の特許保護を正当に評価するよう促した。そして、真の技術的貢献の有無を判断するためには、35 U.S.C. §102、103、112 が本来の審査ツールであると明言した。 スコワーズ長官はこのDesjardins事件を例に挙げ、自身が提唱する「三本柱」が現実の審査運用に具体的に反映された初めてのケースだと位置づけた。AIによる技術的改良を特許適格性の中心に据えたこの決定は、単なる審査運用の転換にとどまらず、AI時代における米国特許法解釈の転換点ともいえる。長官は、「イノベーションの扉は常に開かれている。AIや分散台帳技術のような変革的技術こそ、特許法が本来想定していた革新の対象である」と述べ、講演を締めくくった。 1) https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/remarks-director-squires-2025-aipla-annual-meeting?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= 2) https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/202400567Ex_parte_Desjardins_arp_rehearing_decision.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • 特許適格性の誤用を正し、イノベーションの未来を守る ― Squires長官の声明に見る第101条の本質

    Squires長官の声明には、米国特許法第35条第101項(特許適格性)の誤った運用を正すべきだという強い主張が込められている。長官は、101条は本来、発明が特許保護の対象となる基本的な分野を定めるための「入り口規定」であり、発明の新規性や進歩性、記載要件といった他の審査要素とは区別されるべきだと述べている。にもかかわらず、近年のMayo判決やAlice判決以降、裁判所や特許庁の一部ではこの条項が過度に拡大解釈され、抽象的と見なされる発明や自然法則に関連する技術が広範に排除される傾向が強まっている。その結果、人工知能や金融技術、診断技術といった実際に社会的・経済的価値を持つ発明までが特許不適格とされる事例が増えている。 長官は、MayoおよびAlice判決の本来の趣旨は、特許保護の対象から自然法則や純粋な抽象概念を除外するという限定的なものであり、特許制度全体を狭める意図はなかったと指摘する。したがって、これらの判例を根拠に、発明分野全体を包括的に排除するような解釈は誤りであると明言している。彼はまた、AI関連の特許事例「Ex parte Desjardins」を引用し、当初は単なるアルゴリズムとして拒絶された機械学習技術が、再審で「具体的な技術的改善」と認定され、特許適格と判断されたことを紹介している。この事例は、ソフトウェアや人工知能の発明も、コンピュータの機能を実際に改善するものであれば特許の対象となりうることを再確認した重要な前例である。 Squires長官は、101条の誤用によって特許の門戸が不当に狭められることは、米国のイノベーションを阻害し、国家安全保障や経済成長、さらには国際的な技術競争力にも悪影響を及ぼすと警告している。発明の真価を判断するのは、102条(新規性)、103条(進歩性)、112条(記載要件)で行うべきであり、101条はその前段階で技術の多様性と創造性を包摂するための広範な基盤として運用されるべきだと強調する。特許適格性の範囲を広く明確に保つことは、米国がAI、量子技術、診断・医療分野など新興産業における世界的リーダーシップを維持するために不可欠であると結んでいる。 このように、Squires長官の声明は、特許制度の根幹である第101条を本来の理念に立ち返らせ、技術革新を支える法的環境を再構築するための明確な呼びかけとなっている。 https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/statement-director-squires-united-states-senate-subcommittee-intellectual

  • USPTO、新たな『簡素化クレームセット・パイロットプログラム』を発表——審査効率と品質向上を目指す新試み

    米国特許商標庁(USPTO)は、特許審査の効率化と品質向上を目的として、新たに「簡素化クレームセット・パイロットプログラム(Streamlined Claim Set Pilot Program)」を開始することを発表しました。本プログラムは、出願に含まれるクレーム数を制限することで、審査期間(ペンデンシー)および審査品質にどのような影響があるかを検証することを目的としています。一定の条件を満たしたユーティリティ特許出願(実用特許出願)を対象に、迅速審査(special status)の対象として通常より早く審査を受けることができる制度です。 このパイロットプログラムでは、 独立クレームが1件以内、全体のクレーム数が10件以内 である出願が対象となります。複数従属クレームは認められず、また従属クレームは本通知に定められた依存形式に準拠している必要があります。応募資格を満たす出願人は、所定の様式に基づく「特別審査請求(petition to make special)」を提出することで、出願を審査順序の先頭に繰り上げることができます。受理された出願は、最初のオフィスアクション(First Office Action)が発行されるまで、迅速審査の対象として取り扱われます。 この新制度は、2025年10月27日から申請受付を開始し、2026年10月27日まで、または各技術センターが約200件の対象出願を受け付けた時点のいずれか早い時期まで実施されます。なお、技術分野によって応募状況が異なる場合や、業務量・運営リソースなどの要因により、USPTOの判断で早期に終了する可能性があります。終了時にはUSPTOが公的に通知を行い、同庁ウェブサイト上で各技術センターごとの申請数および受理数が公表されます。 このプログラムに参加するためには、 出願がオリジナルであり、継続出願・分割出願・一部継続出願ではないこと が条件とされています。すなわち、35 U.S.C. §120、121、365(c)、386(c) に基づく継続系出願は対象外です。ただし、プロビジョナル出願や外国出願に基づく優先権主張(35 U.S.C. §119)を行っている場合は参加に影響しません。また、ナショナルステージ出願(PCT経由の米国移行出願)は本プログラムの対象外となります。 出願人は、プログラムへの申請時に**「PTO/SB/472」フォーム(CERTIFICATION AND PETITION TO MAKE SPECIAL UNDER THE STREAMLINED CLAIM SET PILOT PROGRAM) を使用し、電子出願システム「Patent Center」から提出する必要があります。さらに、出願書類(明細書、クレーム、要約書)はすべて DOCX形式で提出していることが条件です。DOCX形式は審査効率とデータ品質を向上させるため、迅速審査の実現において重要な要素とされています。 また、プログラムへの参加にはいくつかの追加制限も設けられています。たとえば、同一発明者または共同発明者が、すでに3件を超える本プログラム申請を行っている場合は、新たな申請は認められません。これは、限られた審査リソースを公平に分配するための措置と考えられます。 さらに、非公開出願(nonpublication request)を行っている場合は、プログラム申請時までにその非公開請求を撤回する必要があります(PTO/SB/36フォームを使用)。本プログラムでは、審査の透明性とデータ活用を重視しており、公開出願であることが前提条件となっています。 USPTOはこの取り組みを通じて、審査官がより焦点を絞ったクレーム構成の出願にリソースを集中させることができるとしています。これにより、審査の効率化だけでなく、審査品質の向上、さらには審査バックログの削減につながることが期待されています。また、パイロットプログラムを通じて得られたデータは、将来の迅速審査制度の設計に役立てられる予定です。 今回の「簡素化クレームセット・パイロットプログラム」は、USPTOが2025年に廃止を予定している「加速審査制度(Accelerated Examination Program)」に代わる新しいアプローチとして注目されています。審査の迅速化と質の両立を目指すこの試みは、今後の特許審査制度の方向性を示す重要な一歩となるでしょう。 https://www.federalregister.gov/documents/2025/10/27/2025-19669/streamlined-claim-set-pilot-program

  • USPTO、特許審査ハイウェイ(PPH)の新たなドケット運用を開始—迅速審査と制度の持続性を両立へ

    特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway、PPH)は、国際的な特許出願の迅速化を目的とした制度であり、知的財産戦略を重視する企業や個人にとって、今や欠かせない仕組みとなっています。ある国の特許庁で特許可能と判断されたクレームについて、他の参加特許庁でも迅速な審査を受けられるという相互協力の枠組みは、グローバルなビジネス展開を行う上で大きな利点をもたらしています。先行する審査結果を活用することで、重複する審査負担を軽減し、出願人はより短期間で権利化を目指すことが可能になります。 2024年には、米国の出願人によるPPH申請件数が約11,000件に達し、制度の利用が定着していることがうかがえます。米国特許商標庁(USPTO)では、このうち約8,600件が同庁でのPPH出願であり、全体の出願のうち2%未満を占めています。件数の割合としては小さいものの、これらの出願の平均ファーストアクション・ペンデンシー(最初の審査結果が出るまでの期間)は約7.5か月と、通常出願よりもはるかに短い点が特徴的です。一方で、非PPH出願の審査期間は2020年には15か月未満であったのが、現在では22か月を超えており、審査の遅延が顕著になっています。このような背景のもと、USPTOはPPH制度の持続的な運用を確保するため、新しいドケット運用方針を導入しました。 新しい方針では、PPH出願の審査順序を非PPH出願のペンデンシーに応じて調整し、同一技術分野における非PPH出願の審査期間のおおよそ半分の期間でPPH出願を処理することを目標としています。つまり、非PPH出願の審査効率が改善されれば、その改善効果がPPH出願にも波及し、制度全体のバランスを保ちながら迅速な審査が維持される仕組みです。これにより、PPH出願は引き続き迅速審査の恩恵を受けながらも、全体として公平な審査リソースの配分が図られることになります。 USPTOのこの取り組みは、単に審査のスピードを追求するだけでなく、審査制度全体の健全性を確保し、長期的なPPH制度の価値を守ることを目的としています。PPHの本質は、各国の特許庁が信頼関係のもとに協力し、出願人が複数国でより円滑に特許権を取得できるようにする点にあります。今後もUSPTOは、非PPH出願の審査遅延を解消しながら、PPH制度を効果的に運用し続けることにより、すべての出願人にとってバランスの取れた特許審査環境を維持していく方針を示しています。 PPHの制度的意義は、国際特許戦略を考えるうえでますます大きくなっています。迅速化だけでなく、審査の効率性や予測可能性の向上、そして各国特許庁間の協力強化といった観点からも、今後の特許行政における重要な柱の一つであり続けるでしょう。

  • 審理開始権を長官へ再集中 ― 公正性と透明性の回復へ

    米国特許商標庁(USPTO)は、特許無効審判制度(IPR: Inter Partes Review)および特許付与後審査制度(PGR: Post-Grant Review)の運用方針を大きく転換する決定を発表しました。( https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/open-letter-and-memo_20251017.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= ) 2025年10月17日付で公表されたジョン・A・スコワイアーズ長官による公開書簡によると、審理開始の最終判断権限を特許審判部(PTAB)から長官自身に戻す方針が明確に示されています。これは、2011年に制定されたアメリカ発明法(AIA)の原則に立ち返り、特許制度の公正性と信頼性を再構築するための重要な改革と位置付けられています。 AIAの条文である35 U.S.C. §§ 314および324は、審理を開始できるのは「長官が請求人の主張に合理的な勝訴可能性があると判断した場合に限る」と明確に規定しています。しかし、実際の運用では長官の権限がPTABに委任され、PTABが審理開始を決定し、そのまま同じメンバーが審理を行うという仕組みが続いてきました。これに対し、スコワイアーズ長官は、制度上の公平性と独立性に対する懸念を指摘し、委任による構造的な問題を是正する必要があると判断しました。 長官は書簡の中で、過去の運用が「自己利益のように見える構造」を生み出していたことを認めています。PTABの業績評価や仕事量が審理件数に影響するため、結果的に「自らの案件を自ら増やす」ように見えるという印象が生じていたと述べました。また、審理開始率が一時期95%を超えていたことや、IPRに偏重した運用傾向にも懸念を示しています。これらの要素が、制度全体の公正性と透明性に対する信頼を損なう結果につながっていたと分析しています。 今回の決定により、今後の審理開始判断はUSPTO長官が直接行い、PTABは審理・判断に専念する体制へと移行します。この変更は、審理部門と判断部門の分離を明確にし、審理の独立性を確保することを目的としています。スコワイアーズ長官は、審理開始権の回復が「法の文言と国会の意図に忠実であり、制度の信頼性を強化するものだ」と強調しています。 今回の改革は、単なる内部的な権限移譲ではなく、米国特許制度全体の信頼回復を目指す動きといえます。審理開始の判断がより慎重かつ透明に行われることで、出願人・権利者・異議申立人のいずれにとっても、より予測可能で公正な制度運用が期待されます。一方で、長官が個別の審理開始を統括することにより、審理の「入口」で政策的または経営的な視点が反映される可能性も指摘されています。そのため、日本企業にとっては、米国での特許防衛や無効審判対応において、審理開始段階の戦略を再検討する必要があるかもしれません。 スコワイアーズ長官は書簡の締めくくりで、「公正で予測可能な特許制度こそが米国のイノベーションを支える礎である」と述べ、USPTOが引き続き世界をリードする知的財産保護機関であるためには、透明で信頼される運営が不可欠だと強調しました。今後、USPTOからは本件に関する新たな運用メモやガイドラインが公表される予定であり、実務への影響を注視することが求められます。 <コメント> この改革は、単なる組織内の権限移譲にとどまらず、「公正さ」と「信頼性」を軸にした米国特許制度の再構築とも言えます。日本企業にとっても、審理プロセスの変化が無効審判の戦略設計に影響を及ぼす可能性があり、早期の情報収集と方針調整が求められます。

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