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  • PCT出願また先願外国出願の優先権回復

    2007年4月1日、PCT規則が改正され、同日以降に出願された国際出願について、優先期間(12か月)の満了後であっても、その満了日から2か月以内に出願された場合には、優先権の回復を請求することが可能となりました。これは、優先期間内に出願できなかった理由が「相当な注意を払ったにもかかわらず」 または 「故意ではない」場合に限り認められます。 https://www.bitlaw.com/source/mpep/1828-01.html 米国での優先権回復に関しての規則は、米国における先願外国出願に対する優先権回復のための嘆願書:37 CFR 1.55(c)に基づき、優先権回復のための嘆願書を提出することで、先願外国出願に対する優先権が回復される場合があります。これは、米国出願が、外国出願の出願日から12か月(意匠出願の場合は6か月)の期間経過後であっても、その期間の満了から2か月以内に提出された場合に適用されます。 1) https://www.uspto.gov/patents/apply/petitions/restoration-benefit-provisional-application-or-priority-foreign-application 2) https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sb0459.pdf 上記、 優先権回復に関する注意点(PCTおよび米国特許法)のまとめ 1. 適用対象と期間 PCT出願 :優先期間(12か月)の満了後であっても、その満了日から 2か月以内 であれば優先権回復を請求可能。 米国出願(37 CFR 1.55(c)) :外国出願の出願日から 12か月 (意匠出願は 6か月 )の期間経過後であっても、その期間の満了から 2か月以内 であれば優先権回復の嘆願が可能。 2. 回復理由の要件 PCT : 相当な注意(Due Care) を払ったにもかかわらず期限を過ぎた場合。 故意でない(Unintentional) 場合。 米国 : 故意でない(Unintentional Delay) ことが要件となる。 3. 手続き方法 PCT出願 : 優先権回復の請求を含む 正式な請求書 を提出。 回復理由の説明と 証拠書類 の提出が必要。 米国出願 : 嘆願書(Petition) を提出し、 手数料 の支払いが必要。 遅延が故意でない理由の説明 を求められる可能性あり 4. 審査基準の違い PCT :加盟国ごとに「 相当な注意 」と「 故意でない 」のどちらの基準を採用するか異なる。 米国 :**故意でない(Unintentional)**基準のみが適用される。 5. 回復が認められない場合 期限(2か月以内) を超えた場合。 必要書類や証拠の不備 がある場合。 故意の遅延 と判断された場合。 6. 追加費用 優先権回復には 追加の手数料 が発生する。 米国では、 嘆願手数料 が必要。 これらの注意点を踏まえて、期限管理や必要書類の準備を確実に行うことが重要です。

  • 2025年1月19日から施行される特許料金の変更について

    米国特許庁により下記庁費用変更について発表されました。 料金設定権限に基づく定期的な料金評価の一環として、2025年1月19日より施行される特許料金の更新を最終規則で発表しました。この料金調整は、米国特許制度を効果的かつ効率的に運営するために必要な十分な資金を提供し、戦略目標の達成に向けた進展を継続させるものです。 今回の更新された特許料金は、「米国のイノベーター解放法(Unleashing American Innovators Act)」に基づいて新たに制定された割引が、スモールビジネスや独立発明者、「小規模主体」や「マイクロ主体」として認定されるその他の対象者に適用されることによる予算への影響を反映させるための追加資源を提供します。また、14,000人を超える全国の職員が効率的に業務を遂行し、アメリカのイノベーターに奉仕するための支援を維持します。今回の更新された特許および商標料金は、米国のイノベーション、包括的資本主義、そして世界的な競争力を推進するという私たちの使命を達成するための基盤となります。 特許料金改定案は、2023年4月20日に発表した連邦官報通知を通じて公表した特許料金の設定または調整計画に対する、これまでの公衆からの意見を反映して形作られました。2023年5月18日には、バージニア州アレクサンドリアで特許公衆諮問委員会(PPAC)が公聴会を開催し、料金調整に関する意見を公募しました。この公聴会後、PPACは受け取った公衆コメントと料金提案に関する勧告を詳細にまとめた報告書を提出しました。私たちはすべてのコメント、アドバイス、提案を考慮し、2024年4月3日に特許料金の設定と調整に関する規則案通知を再び公表しました。その際にも追加のコメントを公募し、それを考慮した結果、以下の3つの提案を進めないことを決定しました。また、3つの提案内容を修正しました。 進めないことを決定した3つの料金変更は以下のとおりです: After Final Consideration Pilot 2.0 リクエストに関する新しい料金 特許存続期間調整料金の特定の引き上げ ターミナルディスクレーマーの階層型料金 修正された3つの料金変更(および修正内容)は以下のとおりです: 継続出願のタイミング閾値の上方修正 調整された特許存続期間延長料金の大幅な削減 第3回以降の継続審査請求(RCE)に対する新しい階層の提案を廃止し、既存の第2回以降の請求に関する料金を調整 これらのコメントへの対応は最終規則に含まれています。 「今回の特許料金の更新により、特許審査の質を向上させ、特許出願処理期間の目標を達成し、最新の情報技術システムやアーキテクチャへの投資を継続することが可能になります」と、知的財産商務次官兼USPTO長官のキャシー・ビダルは述べています。「米国のイノベーターに奉仕し、国の競争力を推進し続けるため、寄せられたすべての公衆からの意見に感謝します。」 2011年の「アメリカ発明法(America Invents Act)」は、個別の特許料金をサービスのコスト以上、以下、または同等に設定および調整する権限を機関に与えていますが、特許料金全体の収益が特許運営の総予算を回収することが条件です。これらの料金調整の詳細については、USPTOウェブサイトの料金設定セクションをご覧ください。 https://www.uspto.gov/about-us/performance-and-planning/fee-setting-and-adjusting?MURL=FeeSettingAndAdjusting#patentfee-info

  • 翻訳の誤りが特許無効につながる可能性

    翻訳のわずかな誤りが特許無効化につながる可能性を示した重要な判例として、IBSA Institut Biochimique, S.A. v. Teva Pharm. USA, Inc.の事例があります。 http://cafc.uscourts.gov/sites/default/files/opinions-orders/19-2400.OPINION.7-31-2020_1628842.pdf この事例では、優先権主張しているイタリア語の特許出願を英語に翻訳したもので、「semiliquido」を「half-liquid(半液体)」と訳して提出しました。特許における「内的証拠」と科学辞書等の「外的証拠」の両方が、元のイタリア語の「semiliquido」を翻訳した「half-liquid」の明確な意味を提供しなかったため、連邦巡回控訴裁判所は、米国特許の請求項が35 U.S.C. § 112に基づき不明確で無効であると判断しました。したがって、英語以外の優先権書類の不正確な翻訳により特許は無効となりました。 IBSA Institut Biochimique, S.A. v. Teva Pharm. USA, Inc.の事例は、翻訳のわずかな誤りが特許無効化につながる可能性を示した重要なケースです。正確な翻訳を行うためには、特に技術的な文書において、以下のような方法でバイリンガル翻訳者の精度を確認することが効果的です。 ダブルチェックプロセスの実施 : 翻訳文は必ず二重チェック(翻訳者と別のネイティブスピーカーまたは専門家によるレビュー)を行い、誤訳や解釈の間違いがないかを確認します。これにより、誤解や異なる解釈のリスクを最小限に抑えることができます​。 技術用語の整合性 : 専門用語や技術用語は特に重要です。翻訳者がその分野の技術に精通しているかを確認し、翻訳後に用語集や辞書を用いて用語の一貫性を保つかどうかを評価します。 言語のネイティブ性と文化的知識 : 翻訳者が両言語の文化的背景や微妙なニュアンスを理解しているかも重要です。日本語と英語で異なる表現や概念がある場合、単に単語を置き換えるのではなく、正確な意図を伝えられるかどうかを評価します。 機械翻訳ツールとの比較テスト : 人間の翻訳と機械翻訳の結果を比較することで、人間翻訳の精度と解釈の深さを評価できます。これにより、文脈に応じた適切な翻訳ができているかを確認できます。 実際の使用例のテスト : 翻訳文を実際の文脈で使用し、専門家や当事者が理解できるかを確認することで、翻訳の正確性と実用性を検証します​。 ただ、時には最良の翻訳者であってもミスをすることがあります。この場合は、Incorporation by referenceを使用して翻訳ミスを修正することです。出願人は、例えば「この出願は日本特許出願番号______に優先権を主張しており、これをここに引用して組み入れる」という記載を含めることによって、外国優先権出願を明示的に引用の組み入れを行うことができます(MPEP § 608.01(p)(I); 37 C.F.R. § 1.57(c))。MPEPによると、明示的な引用の組み入れは「優先権を主張している以前の出願の一部が省略された場合に備えるための安全策」として使用できます(MPEP § 608.01(p)(I)(B))。そのため、翻訳ミスが後で特定された場合、優先権出願の明示的な引用の組み入れを頼りに、翻訳ミスを修正できます。 米国特許商標庁(USPTO)に提出するための特許明細書を作成する際、クレームの範囲を制限したり、曖昧さを生じさせたりしないように、特定の言葉やフレーズを避ける、もしくは注意して使用する必要があります。以下に、避けるべき言葉やフレーズのリスト、代替案、そしてそれらが避けるべき理由を、判例法および特許出願や訴訟におけるベストプラクティスに基づいて示します。 1. "The Present invention" Avoid : "The present invention" Use Instead : "The disclosure," "One embodiment," "In some embodiments" 理由: 「The present invention」という表現を使用すると、明細書に記載された特定の実施形態に発明全体が限定されると解釈される可能性があります。裁判所は、このフレーズを、記載された実施形態が発明の唯一の形態であると認めたものとみなすことがあり、クレームの範囲が狭くなる恐れがあります。 判例: Phillips v. AWH Corp. (Fed. Cir. 2005) では、クレームの用語を解釈する際に明細書の重要性が強調されました。「本発明」といった表現は、他の潜在的な実施形態を放棄したものと見なされることがあります。 2. "Must" / "Shall" / "Required" Avoid : "Must," "Shall," "Is required" Use Instead : "Can," "May," "Preferably," "In some embodiments" 理由: これらの言葉は、発明の必須の特徴を示唆し、クレームの範囲を制限する可能性があります。裁判所は、このような表現を、特定の特徴が必須であると解釈することがあり、本来は制限する意図がない場合でも、その特徴が不可欠であると判断される可能性があります。 判例: Ethicon Endo-Surgery, Inc. v. U.S. Surgical Corp. (Fed. Cir. 1998) では、必須の表現を使用すると、クレームの解釈が狭まると裁判所が認定しました。 3. "Essential" Avoid : "Essential," "Necessary," "Critical" Use Instead : "Preferable," "In some embodiments," "Advantageous" 理由: 「must」や「shall」と同様に、これらの用語は、発明が機能するために特定の特徴が必要であることを示唆します。これにより、意図しないクレームの制限が生じる可能性があります。 判例: Halliburton Energy Services, Inc. v. M-I LLC (Fed. Cir. 2008) では、発明に不必要な制限を加える言葉を避けることが重要であると強調されました。 4. "Invention Is" Avoid : "The invention is" Use Instead : "In one embodiment," "In some aspects," "The disclosure relates to" 理由: 「The invention is」を特定の特徴として定義すると、クレームの範囲がその特定の特徴に限定され、狭い解釈がされる可能性があります。 判例: Markman v. Westview Instruments, Inc. (1996) では、明細書内の断定的な記述が訴訟においてクレームの範囲を制限することが指摘されました。 5. "Preferably" (in excess) Avoid : Overuse of "Preferably" Use Instead : "In one embodiment," "Advantageously," "Optionally" 理由: 「好ましくは(preferably)」という表現は一般的に許容されますが、過度に使用すると、様々な実施形態の区別が曖昧になり、特定の特徴が必須であるかどうかについて読者が混乱する可能性があります。 判例: 直接の判例はありませんが、Merck & Co. v. Teva Pharms. USA, Inc. (Fed. Cir. 2005)では、曖昧または過剰な修飾語の使用がクレーム解釈を複雑にする可能性があると指摘されました。 6. "Broadest" or "Best" Avoid : "Broadest," "Best," "Primary" Use Instead : "In some embodiments," "A preferred embodiment," "In one example" 理由: これらの用語は、他の実施形態が発明に含まれない、または発明が「最良のもの」として記載されたものに限定されることを示唆する可能性があります。このため、クレームが狭く解釈されるリスクがあります。 判例: Norian Corp. v. Stryker Corp. (Fed. Cir. 2004) では、「Best」や「Primary」言葉が、発明を好ましい実施形態に限定する可能性がある点が問題となりました。 7. "Can only" or "Cannot" Avoid : "Can only," "Cannot" Use Instead : "May," "Optionally," "In some cases" 理由: 絶対的な表現は、クレームの範囲を一つの解釈に限定し、他の潜在的な実施形態を除外する可能性があります。 判例: Liebel-Flarsheim Co. v. Medrad, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、制限的な記述が、クレームが他の構成を網羅することを妨げる可能性があることが強調されました。 8. "Always" Avoid : "Always" Use Instead : "In certain embodiments," "Often," "Typically" 理由: 他の絶対的な表現と同様に、「常に(always)」は、特定の特徴がすべての実施形態に存在する状況に発明を限定し、バリエーションを除外する可能性があります。 判例: Curtiss-Wright Flow Control Corp. v. Velan, Inc. (Fed. Cir. 2011) では、条件を過度に特定すると、クレームの広さが制限されることが指摘されました。 9. "The sole purpose of" Avoid : "The sole purpose of" Use Instead : "One purpose of," "An advantage of," "In some cases" 理由: このフレーズは、発明が単一の目的に限定されていることを示唆し、クレームの範囲がその特定の目的に限定され、他の目的が除外される可能性があります。 判例: Tex. Digital Sys. v. Telegenix, Inc. (Fed. Cir. 2002) では、明細書内の限定的な表現がクレームの解釈を制約する可能性があることが示されました。 10. "All embodiments" Avoid : "All embodiments," "Each embodiment" Use Instead : "In some embodiments," "In various embodiments," "At least one embodiment" 理由: この表現は、発明のすべての実施形態が特定の特徴を含む必要があることを示唆し、クレームの範囲を狭める可能性があります。 判例: Daiichi Sankyo Co. v. Apotex, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、明細書に基づいてクレームを一般化すると、訴訟において解釈が制約されることが示されました。 11. "Exclusively" Avoid : "Exclusively" Use Instead : "Primarily," "In some embodiments," "Typically" 理由: 「排他的に(exclusively)」という用語は、特定の特徴がすべての実施形態に必須であることを示唆し、クレームの解釈における柔軟性を制限します。 判例: Arlington Indus., Inc. v. Bridgeport Fittings, Inc. (Fed. Cir. 2010) では、排他的な用語の使用がクレームの範囲を制約し、訴訟で不利な結果を招く可能性があることが示されました。 12. "Only" Avoid : "Only" Use Instead : "Optionally," "In some instances," "Preferably" 理由: 「only(のみ)」という表現は、特定の特徴や特性が絶対に必要であることを示唆し、発明をその状況に限定する可能性があります。 判例: Liebel-Flarsheim Co. v. Medrad, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、「only」といった限定的な表現の使用が、クレームの範囲を不必要に狭めることが示されました。 13. "Always necessary" Avoid : "Always necessary," "Always required" Use Instead : "In certain cases," "Often," "Generally required" 理由: 「always(常に)」という表現は絶対的な必要性を示唆し、その特徴が必要でない実施形態を除外する可能性があります。 判例: Aspex Eyewear, Inc. v. Marchon Eyewear, Inc. (Fed. Cir. 2010) では、限定的な言葉がクレームの狭い解釈につながったため、「always」の過剰使用が推奨されないとされました。 14. "Exemplary" (when overused) Avoid : Overuse of "Exemplary" Use Instead : "In some embodiments," "In an example" 理由: 「exemplary(例示的)」という表現は、実施形態が単なる一例であることを明確にできますが、過度に使用すると、どの特徴が発明の中心であり、どれが単なる任意のものであるかについて混乱を招く可能性があります。 判例: これに直接関係する具体的な判例はありませんが、裁判所は「例」が唯一の実施形態であることを示唆する言葉を考慮することに慎重な傾向があります。 15. "All possible embodiments" Avoid : "All possible embodiments" Use Instead : "Various embodiments," "In certain embodiments" 理由: この表現は、すべての実施形態が記載されたすべての特徴を含まなければならないことを示唆し、意図しない制限や有効な解釈の排除につながる可能性があります。 判例: Lucent Techs., Inc. v. Gateway, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、明細書内で包括的な言葉を使用したため、クレームが狭く解釈されたことが批判されました。 16. "Single" Avoid : "Single," "A single unit" Use Instead : "One," "At least one," "In some embodiments" 理由: 「single(単一の)」という表現を使用すると、クレームが一つの構成要素しか許されない状況に意図せず限定され、複数のユニットや構成要素を含む設計が除外される可能性があります。 判例: In re Omeprazole Patent Litig. (Fed. Cir. 2007) では、限定的な用語の使用がクレームの解釈を制約し、権利行使に影響を与えることが示されました。 17. "The sole feature" Avoid : "The sole feature" Use Instead : "One feature," "A key feature," "A possible feature" 理由: 「唯一の特徴(the sole feature)」という表現は、発明をその特徴のみに限定し、他の実施形態やバリエーションを除外するものと解釈される可能性があります。 判例: SRI Int'l v. Matsushita Elec. Corp. (Fed. Cir. 1985) では、限定的なフレーズの使用がクレームの構成に影響を与えた要因となりました。 18. "Necessary to" Avoid : "Necessary to" Use Instead : "Can," "May be used to," "Optional for" 理由: このフレーズは、特定の特徴が必須であることを示し、クレームの範囲をその特徴を含む実施形態に限定する可能性があります。 判例: Edwards Lifesciences LLC v. Cook Inc. (Fed. Cir. 2010) では、特定の特徴の必要性を過度に明記することの危険性が指摘されました。 19. "Consists of" (vs. "Comprising") Avoid : "Consists of" Use Instead : "Comprising," "Including," "Consisting essentially of" 理由: 「consists of(~から成る)」は閉じた表現であり、クレームを列挙された要素のみに限定し、追加の特徴を除外します。一方、「comprising(~を含む)」は開かれた表現であり、クレームに明記された要素に加えて、他の特徴を含めることができます。 判例: Genentech, Inc. v. Chiron Corp. (Fed. Cir. 2003) では、「comprising」と「consisting of」を区別し、後者がクレームの範囲を制限することが示されました。 20. "The main purpose" Avoid : "The main purpose," "The primary objective" Use Instead : "One purpose," "An objective," "A potential use" 理由: 「発明の主な目的(the main purpose)」を定義すると、他の用途や実施形態がカバーされていないと示唆され、クレームの範囲が制限される可能性があります。 判例: Norian Corp. v. Stryker Corp. (Fed. Cir. 2004) では、このような限定的な言葉の使用が問題となり、クレームの解釈に影響を与えました。 21. "Unique" Avoid : "Unique," "Exclusive to" Use Instead : "In one embodiment," "A distinctive feature," "In certain cases" 理由: 「unique(独特の)」という表現は、他のシステムやデバイスがこの特徴を持つことができないことを示唆し、保護範囲を制限したり、新規性に対する異議申し立てのリスクを高める可能性があります。 判例: Daiichi Sankyo Co. v. Apotex, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、過度に具体的な言葉がクレームの範囲を意図せず制限することが問題となりました。 22. "Cannot be" Avoid : "Cannot be," "Impossible to" Use Instead : "In some embodiments," "May not be" 理由: 「cannot(できない)」のような絶対的な表現は、特定の実施形態やバリエーションが除外されることを示唆し、クレームの範囲を意図せず制限する可能性があります。 判例: K-2 Corp. v. Salomon S.A. (Fed. Cir. 1999) では、断定的な表現がクレームの範囲を制限し、権利行使に影響を与えたことが議論されました。 23. "Each" Avoid : "Each" Use Instead : "Some," "In certain embodiments," "In various configurations" 理由: 「each(各)」という表現は、すべてのインスタンスが記載された特徴に従わなければならないことを示唆し、クレームの範囲を意図せず狭める可能性があります。 判例: SanDisk Corp. v. Memorex Prods., Inc. (Fed. Cir. 2008) では、システムの特徴を説明する際に「each」を使用すると、クレームが不必要に制限されることが示されました。 24. "All" Avoid : "All," "Every" Use Instead : "Certain," "Some," "In some embodiments" 理由: 「each」と同様に、「all(すべて)」は、発明のすべてのバージョンが記載された特徴を持つ必要があることを示唆し、代替設計を除外する可能性があります。 判例: Lucent Techs., Inc. v. Gateway, Inc. (Fed. Cir. 2007) では、「all」といった普遍的な表現がクレームの解釈を過度に狭くする結果を招くことが示されました。 25. "Critical to the invention" Avoid : "Critical to the invention" Use Instead : "In some embodiments," "Preferably," "An important feature" 理由: ある特徴を「critical(重要)」と宣言すると、その特徴を含む実施形態にのみ発明の範囲が限定される可能性があります。 判例: Halliburton Energy Services, Inc. v. M-I LLC (Fed. Cir. 2008) では、特徴を「重要」と表現することがクレーム解釈を制限する可能性があると警告されました。

  • Terminal Disclaimerを提出された特許の留意点

    Terminal Disclaimerとは Terminal Disclaimerとは、後の特許出願の期間を短縮し、先の特許の期限と一致させるために出願人が提出するStatementです。これは、同一の発明またはその明らかなバリエーションについて複数の特許を取得することを防ぐための二重特許拒絶を克服するために使用されます。このStatementは後の特許の実施可能性を制限し、先の特許と期間および実施可能性の両方で結びつける役割を果たします。先の特許が無効化された場合、後の特許も実施可能性を失う可能性があります。これは、Terminal Disclaimerが二重特許を回避するために後の特許を先の特許に結びつけているため、先の特許がもはや有効でない場合、後の特許が独立して実施可能であるべきではないとする論理に基づいています。 Terminal Disclaimerが提出されている場合、先の特許が無効化されると、Terminal Disclaimerによって結びつけられている後の特許にも影響を及ぼす可能性がありますが、自動的に無効になるわけではありません。Terminal Disclaimerは、後の特許の実施可能性を先の特許に結びつけており、先の特許が無効または実施不能となった場合、後の特許も実施可能性を失うことがあります。 重要な判例: In re Lonardo, 119 F.3d 960 (Fed. Cir. 1997) : この判例では、Terminal Disclaimerが提出された特許が、先の特許が無効化された場合、実施不能になることを強調しています。Terminal Disclaimerは後の特許の実施可能性を先の特許に明確に結びつけているためです。 Carman Industries Inc. v. Wahl, 724 F.2d 932 (Fed. Cir. 1983) : この判例も、Terminal Disclaimerが提出された特許の実施可能性が先の特許の状態に依存することを示しています。先の特許が無効化された場合、後の特許の実施可能性が損なわれることが指摘されています。 これらのシナリオでは、先の特許が二重特許やその他の理由で無効化された場合、後の特許の実施可能性にも影響を与える可能性がありますが、後の特許が自動的に無効化されるわけではなく、代わりに実施不能となる可能性があります。 特許保有者にとっての実務的な影響: もしTerminal Disclaimerを提出する場合、その後の特許が先の特許に結びつけられることを認識することが重要です。先の特許が何らかの理由で実施不能となる場合、後の特許も実施可能性を失う可能性があります。 最近の重要な判例 Terminal DisclaimerおよびObviousness-Type Double Patenting、略称: ODPに関連する最近の重要な判例として、In re Cellect, LLC (2023)が挙げられます。この判例では、連邦巡回控訴裁判所はTerminal Disclaimerが、ODPの参考とされた先の特許が先に失効した場合、後の特許に付与された特許期間調整(Patent Term Adjustment、略称: PTA)を効果的に打ち消すとする判断を下しました。裁判所は、ODPの無効化はPTAで延長された期間にのみ適用されるべきだというCellectの主張を退け、元の期間および延長された期間を含む特許全体がODPに基づいて無効化されると判断しました。 Cellect の判決は、特に製薬業界のように規制による遅延でPTAが頻繁に付与される業界において、PTAを持つ特許に大きな影響を与えています。特許保有者はODP拒絶を処理する際にTerminal Disclaimerの使用を慎重に検討する必要があり、Terminal Disclaimerを提出すると貴重なPTAが失われる可能性があります。 さらに、最近の判例であるAllergan U.S. Inc. v. MSN Laboratories Private Ltd.では、 Cellect 判決の影響がさらに強調されました。この判例では、親特許が子特許よりも多くのPTAを持っていたため、親特許が無効化されました。裁判所は、Terminal Disclaimerが一度提出されると、両特許が結びつけられ、親特許の無効化が子特許にも影響を及ぼすと判断しました。

  • 特許法 vs 独占禁止法

    知的財産部や外部弁護士や弁理士による特許審査や権利範囲の話し合いにおいて、独占禁止法の観点から注意すべきキーワードは、競争の制限や市場の支配につながるような表現です。これらの用語は、意図的に市場独占を目指していると解釈される可能性があり、独占禁止法違反の疑いが生じるリスクを高めます。 特定の用語において、独占的意図を示すものとして捉えられ、独占禁止法違反のリスクが高まる可能性があります。知的財産権の行使に関するメール、ボイスレコード、書類が訴訟などで開示される場合には、これらの表現に注意し、特許権の正当な保護と競争促進のバランスを強調することが重要です。 外部弁護士や弁理士とのコミュニケーションにおいて法律特権(Attorney-Client Privilege)の下にある場合であっても、独占禁止法に関する問題が生じる場合には、そのコミュニケーションが例外的に開示される可能性があるため、弁護士とのやりとりでも慎重に言葉を選ぶことが重要です。 独占禁止法に関連するケースで問題となり、例外的にコミュニケーションが開示される判例があります。通常、弁護士とクライアントの間のコミュニケーションは秘密に保たれるべきものですが、特定の状況下では例外として開示が命じられることがあります。特に独占禁止法に関連する場合、犯罪・不正行為例外(Crime-Fraud Exception)が適用されることがあります。 特許関連の訴訟で、弁護士-依頼者間の法律特権(Attorney-Client Privilege)が独占禁止法に関連して問題となり、例外的に通信が開示される判例として、以下の判例が注目されます。 1. In re Spalding Sports Worldwide, Inc. (2000) この判例では、特許権に関連した 弁護士-依頼者間の通信 が独占禁止法違反の証拠として提出されるべきかが争われました。Spaldingは、特許出願に関する内部メモを特権で保護されると主張しましたが、裁判所はその通信が 詐欺の可能性 がある場合には特権が適用されないことを確認しました。この判例では、弁護士との通信が不正な目的で行われた疑いがある場合、特権が解除されることが示されました。 2. In re Kellogg Brown & Root, Inc. (2014) この事件は、 内部調査に関連する通信 が特権で保護されるかどうかが争われました。KBRは、特許権の行使に関連する独占禁止法違反の疑惑で調査を受けており、内部調査において弁護士が関与していたため、その通信は特権が適用されると主張しました。しかし、裁判所は、 通信が主にビジネス目的で行われた場合 、特権の適用が否定される可能性があると判断しました。 3. FTC v. AbbVie (2020) この判例では、製薬会社AbbVieが特許を利用して 競争を排除する目的で独占禁止法に違反 した疑いで提訴されました。FTCは、AbbVieが「逆支払い合意」(pay-for-delay agreements)を通じてジェネリック薬の参入を遅らせるために特許訴訟を濫用したと主張しました。この訴訟では、弁護士との通信が特権で保護されるかが争点となり、独占禁止法の観点から特許権の行使が違法である場合、その通信が 開示される可能性 があることが示唆されました。 これらの判例は、特許権に関連する訴訟でも、独占禁止法違反が疑われる場合には、弁護士-依頼者間の通信が例外的に開示されるリスクがあることを示しています。特に、不正行為例外(Crime-Fraud Exception)が適用される場合、特権の保護が失われる可能性が高く、慎重な対応が求められます​ 以下は、特許権利範囲の協議において、競合を排除する意図があると受け取られる表現の例です。 1. 競合排除や制限を示唆する表現 競合を排除する (Exclude competitors) 市場から締め出す (Drive out from the market) 競合を封じ込める (Contain competitors) 競争者を無効化する (Invalidate competitors) 競争の場から取り除く (Remove from the competitive landscape) 2. 市場支配・独占を暗示する表現 市場支配を確保する (Ensure market dominance) 独占を維持する (Maintain a monopoly) 市場を完全に支配する (Completely dominate the market) 競合を完全に排除する (Completely eliminate competitors) 市場の入り口を閉ざす (Close the door to the market) 3. 市場参入を妨げる意図を示す表現 競合が参入できないようにする (Prevent competitor entry) 市場参入障壁を作る (Create barriers to entry) 新規参入者を排除する (Exclude new entrants) 市場の参入障壁を高く保つ (Keep barriers to entry high) 4. ライセンスや訴訟を利用して競争を制限する表現 特許訴訟で競合を締め出す (Shut out competitors through patent litigation) ライセンスを拒否する (Refuse to license) 特許権を行使して競合を抑える (Use patents to suppress competitors) 特許侵害を理由に訴訟を起こす (File lawsuits to claim patent infringement) 5. 独占的契約や取引を示唆する表現 独占契約を結ぶ (Enter into exclusive agreements) 市場独占を維持するために (To maintain market exclusivity) 排他的な販売権を確保する (Secure exclusive selling rights) 6. 競争制限や価格操作に関連する表現 競争を無効化する (Neutralize competition) 価格競争を防ぐ (Prevent price competition) 競合を価格面で打ち負かす (Beat competitors on pricing) カルテルを形成する (Form a cartel) 競合他社を価格で押しつぶす (Crush competitors with pricing)

  • DC近郊の特許・非特許文献調査施設

    ワシントンDC近郊にはUSPTO、国会図書館、 National Institutes of Health (NIH)があり、文献調査を行うための施設がそろっています。近年では、電子版データベースが充実していることもあり、物理的に図書館へ行くことも減りつつあります。そのため、調査施設を活用することも減りつつありますが、まだまだこれらの施設を利用するメリットがあると考えます。 1. USPTO Public Search Facilityを利用する利点 https://www.uspto.gov/learning-and-resources/support-centers/public-search-facility a. 専門的なツールやデータベースへのアクセス USPTO public search facility では、 PubEAST や PubWEST などの専用データベースにアクセスできます。これらのシステムは、公開されているオンラインデータベースでは利用できないもので、より高度な特許検索が可能です。 https://www.uspto.gov/learning-and-resources/support-centers/scientific-and-technical-information-center-stic/prior-art b. 対面による支援 USPTO public search facility では、 訓練を受けたスタッフ や特許調査の専門家と相談することができます。これにより、専門的なデータベースの使用方法や検索結果の解釈、検索戦略の改善などのアドバイスが受けられます。 c. 包括的な非特許文献(NPL)コレクション 非特許文献(NPL)は無効化調査や新規性調査において重要です。USPTOの施設では、オンラインでは完全にアクセスできない非特許文献のコレクション、特に古いものや専門性の高い出版物が含まれている場合があります。 d. 法律に関するリソース USPTO public search facility には、 法律の先例 に関連するリソースもあり、過去の特許庁の決定や規則、特許審査に影響を与える要素について理解するのに役立ちます。 2. 国会図書館(LOC: Library of Congress)を利用する利点 https://www.loc.gov/research-centers/science-and-business/about-this-research-center/ a. 豊富な非特許文献(NPL)リソース 国会図書館は、世界最大級の 非特許文献のコレクション を保有しており、書籍、ジャーナル、会議資料、基準書など、多様な技術資料が揃っています。これは特許データベースの範囲を超えた先行技術調査に非常に有用です。 1) https://eresources.loc.gov/ 2) https://catalog.loc.gov/vwebv/searchAdvanced b. 歴史的コレクション 古い文書における先行技術を調査する場合、議会図書館は 歴史的な出版物、新聞、ジャーナル のアーカイブにアクセスでき、これらは電子データベースでは入手できない場合があります。 c. 専門的なコレクション 国会図書館には科学、技術、工学に特化したコレクションもあり、特に非特許文献の調査に役立ち、特許調査に関連する 専門的で珍しい文献 を見つけることができます。 d. 研究司書(リファレンスライブラリアン)による支援 USPTO同様に、国会図書館には 研究司書 が在籍しており、文献検索の支援を行っています。これにより、特定の文書を探したり、追加のリソースを推奨したり、より良い検索戦略を提案してもらうことができます。 3. National Institutes of Health (NIH) Library Facilityを利用する利点 https://www.nihlibrary.nih.gov/ https://www.nlm.nih.gov/readingroom/index.html a. 豊富な非特許文献(NPL)コレクション NIH図書館 は、生命科学や医療分野における膨大な非特許文献(NPL)を提供しています。特に、医薬品、バイオテクノロジー、化学技術などに関連する特許調査を行う際に、学術論文、研究報告書、臨床試験データにアクセスできることは非常に有用です。 b. 専門的なデータベースとツール NIH図書館は、 PubMed や Medline など、生命科学や医療分野に特化したデータベースにアクセスできます。これにより、バイオ医薬品関連の先行技術調査や、非特許文献を調査する際の信頼性の高い情報源として利用できます。 c. 研究サポートと専門スタッフ NIH図書館では、 専門の研究司書 が調査をサポートしてくれます。彼らは生命科学や医療分野の専門知識を持っており、適切なリソースの選択や、文献検索の戦略に関するアドバイスを提供してくれます。 d. アクセス可能な研究施設 NIH図書館は、最先端の医療研究が行われる NIHキャンパス 内に位置しており、同施設の利用者は高度なリソースや研究ツールにアクセスできます。特に、医療やバイオ分野の特許調査を行う場合、これらのリソースは非常に役立ちます。 e. 無料での利用 公共の研究者や特定の資格を持つ個人に対して、NIH図書館のリソースを無料で提供しており、学術文献をオンラインで閲覧することが可能です。 USPTO/LOC/Electronic database 比較分析 基準 USPTO Public Search Facility 国会図書館 電子データベース 検索範囲 特許(米国中心)+ 一部非特許文献 主に非特許文献(NPL) 特許(国際的) + 一部非特許文献データベース 歴史的文書へのアクセス 強力、古い特許へのアクセスあり 優れている、豊富な歴史的アーカイブ 最近の文書は良好、古い文書は制限がある 対面サポート 特許調査の専門家が対応 研究司書が対応 対面サポートなし、FAQやガイドはあり 検索ツール 専門の特許データベース(PubEAST、PubWEST) 幅広い資料が豊富なコレクション 高度なブール演算、AI検索ツール 利便性 現地訪問のみ 現地訪問のみ インターネット接続があればどこからでもアクセス可能 網羅性 特許に関しては高い、非特許文献は中程度 非特許文献に関しては高い、特許は低い 特許に関しては高い、非特許文献は中程度 コスト 無料で利用可能 無料で利用可能 無料(公共データベース)またはサブスクリプション型 結論: 電子データベース は、 スピード 、 国際的なカバレッジ 、 リアルタイム更新 が特徴で、特に最近のグローバルな特許文書を調査する際に欠かせません。 USPTO public search facility は、特許調査において 詳細な調査 や専門的なツールへのアクセスが可能で、 古い特許や特殊な特許 にアクセスする必要がある場合に非常に有用です。 国会図書館 は、特に 非特許文献の調査 に優れ、歴史的または専門的なリソース NIH図書館 は、特に 生命科学や医療分野 の特許調査や、関連する非特許文献の検索において非常に有用です。これにより、医学やバイオテクノロジー関連の先行技術調査において、特許データベースを補完する優れた情報源となります。 この他、ワシントンDC近郊には有名大学の図書館があり、特許調査には最適な環境です。 ジョージワシントン大学図書館: https://library.gwu.edu/ ジョージタウン大学図書館: https://library.georgetown.edu/ メリーランド大学図書館: https://www.lib.umd.edu/

  • USPTOは独立採算で運営されている

    2025年度から庁費用改正が決まっています。全体の審査費用は、現在の費用からだいたい5~10%程度の値上がりを予想していますが、10%を超える極端に値上がりしている費用案も見受けられます。なぜ特許庁はこのように値上げが必要になるのでしょうか。USPTOが財政的に独立しているのは、主に自立した運営を可能にし、特許や商標の出願者といった利用者のニーズに応えるためであり、米国の納税者や政府からの資金提供に依存しないようにするためです。以下はその理由です: 1. 料金ベースの構造 : USPTOは 料金で賄われるモデル で運営されています。つまり、特許や商標の出願、維持費用、その他の関連サービスに対して請求する手数料によって、すべての業務が賄われています。このシステムの背景には、特許や商標制度を利用する人々がその費用を負担するべきだという考えがあります。利用者手数料に依存することで、USPTOは納税者に負担をかけることなく、定期的な政府の予算配分を必要としません。 2. 効率性と説明責任 : 財政的に独立していることで、USPTOは効率的に運営でき、直接の顧客(発明家、企業、法務専門家)に対して説明責任を持つことができます。この料金ベースの構造により、USPTOはサービスや料金を需要に応じて調整でき、議会の承認を待ったり、政府の予算プロセスの不確実性に直面する必要がありません。この仕組みにより、USPTOは予算や業務運営をよりコントロールでき、業務量に応じて規模を調整することが可能になります。 3. 需要に基づくサービスの性質 : USPTOのサービスは 需要に基づいて います。つまり、処理する特許出願や商標登録の件数は、米国内のイノベーションやビジネス活動のレベルによって変動します。もしUSPTOが固定された政府の資金に依存していた場合、需要が高まったときに対応が難しくなるかもしれません。料金ベースの構造によって、USPTOは業務を拡大したり、必要に応じてより多くの審査官を雇用したり、技術投資を行うことができ、利用者のニーズにより効果的に応えることができます。 4. 政治的影響からの独立性 : 議会から資金を受け取らないことで、USPTOは政府予算の影響による 政治的な圧力からの独立性 をある程度維持しています。この自律性により、特許や商標制度を運営する際に政治的な考慮に左右されることなく、イノベーションの促進や知的財産の保護という中核的な使命に集中できるのです。 5. 議会の意図 : USPTOの財政的独立は、特許や商標制度が効率的に、かつ途切れなく運営されることを目的として設立されました。これまでの経緯で、議会はUSPTOが徴収した手数料を保持し、業務ニーズに応じてその料金を調整する権限を与えています。このことは、利用者が制度の運営費を負担すべきであり、納税者にその負担をかけないという原則を強化しています。 6. 予算削減や政府閉鎖の回避 : 利用者の手数料に依存することで、USPTOは政府閉鎖や予算削減による影響を回避できます。たとえば、米国政府が閉鎖された際、多くの連邦機関は業務を縮小せざるを得ませんが、USPTOは独自の資金源で運営されているため、業務を継続することができます。この仕組みは知的財産制度の安定性を提供し、特許や商標の処理が中断することなく続けられることを保証します。 まとめ: USPTOの財政的独立性は、業務をより効率的に運営し、利用者のニーズに迅速に対応できるようにするためのものです。また、政府の資金問題による影響を回避し、特許や商標制度が利用者によって資金提供されることを確実にするためです。この自立したモデルは、納税者の負担を避け、議会の予算配分に依存せずに知的財産制度を維持することを目的としています。 2025年予算: https://www.commerce.gov/sites/default/files/2024-03/USPTO-FY2025-Congressional-Budget-Submission.pdf

  • 担当審査官の変更要求について

    代理人として長年働いていると多かれ少なかれ審査官の質や態度に問題があることに気づきます。出願人は、運悪くこのような審査官にあたってしまった場合、審査官の変更を要求することが可能であるかの疑問があります。その答えからいうと、審査官の交代を求める手続きは非常に困難であり、具体的に適切な証拠を揃える必要があります。ここでは、プロセスや戦略を要約し、さらに詳しく掘り下げてみましょう。 審査官の交代申請の仕組みとその課題: 申請プロセス(37 CFR 1.181) : 審査官の交代を求める申請では、審査官や上司による不適切な行動、偏見、または手続き上の不備を証明する必要があります。 有効な理由の例 :不適切なボイスメールの送信など、明らかな偏見を示す証拠や、複数回のアピールブリーフに対して継続的に審査を再開するなどの手続き上の不正行為。 無効な理由 :審査官が厳しいことを示す統計、先行技術の解釈に関する意見の相違、または技術の理解不足。特許庁はこれらを「単なる意見の相違」として却下し、こうした問題は申請ではなくアピールが適切であるとしています。 決定権者 : 初回の申請は、通常、 グループディレクター またはその代理人が決定します。 却下された場合、 特許審査方針副コミッショナー室 (MPEP § 1002.02(b))が扱う二次申請(監督レビューのための申請)を行うことができます。 偏見の証明の難しさ : 統計は十分ではない :審査官の統計は戦略を立てる上で有益ですが、特定のケースにおける偏見の証拠とは見なされません。 狭い範囲の証拠 :特許庁は、特定の案件にのみ焦点を当てており、出願人の案件に直接関係しない限り、審査官の広範な行動パターンは通常無視されます。 実例:下記の例では、具体的な不正行為の証拠が必要であることを強調しています。 1)13/332,251: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/13332251_06apr2018.pdf 2)13/470,696: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/13470696_23jun2016.pdf 3)14/619,334: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/14619334_13jul2016.pdf 例えば、上記1)の例では、以下の理由で請願を却下しています。 決定の要点: 出願人は審査官や担当者を選ぶ権利がない : この決定では、先例である In re Arnott を引用し、出願人には担当する審査官や、監督審査官(SPE)および他の関係者を選ぶ権利がないとしています。出願の担当審査官の割り当ては、 技術センターディレクター および SPE の裁量に委ねられており、彼らはその範囲で広範な権限を有しています。 偏見や不適切な行動の証明責任 : 出願人は、再割り当てを要求するために、偏見やそれに類する不適切な行動を証明しなければなりません。これは、 In re Ovshinsky によって支持されており、 局長の監督権限 を行使して技術センターディレクターに出願を新たな審査官に割り当てるよう指示するには、こうした偏見が証明されなければならないとしています。本件では、 技術センターディレクター に対し、出願を新しい審査官に割り当てる指示を出すに足る偏見や不正行為の具体的な証拠は示されていません。 出願人が主張した不適切行為の審査 : 特許庁 は、出願人の不満とともに出願の記録を詳細に調査しましたが、審査官や監督者による偏見や不適切な行動は見られませんでした。 Office Action(審査応答書)のタイミング : 出願における応答書の遅延は異常ではなく、特別な遅延や不正行為は確認されませんでした。 主張された発言 : 申請者は、審査官や監督者が偏見を示す発言をしたと主張しましたが、これらの主張は文脈に欠け、裏付けがなく、偏見を示す十分な証拠にはなりませんでした。 拒絶に関する意見の相違 : 出願人は、審査官が不適切な拒絶や制限を行ったことが偏見の証拠だと主張しましたが、 単なる意見の相違 は偏見の証拠とはならないとしています。審査過程において意見の相違は通常のことであり、これは Lear, Inc. v. Adkins で確立された事実です。 偏見の証拠は見られない : 最終的に、 出願人の主張は、審査官や監督者による偏見や不正行為を示すものではないと判断されました。特許の適格性や請求項の制限に関する意見の相違は、偏見や不適切な行動を意味するものではなく、審査官の交代を正当化するものではありません。 戦略的考慮事項: 強力な証拠を収集する :不適切な行動を示す明確な証拠を揃えることが不可欠です。技術の理解不足や先行技術の解釈に関する一般的な不満では不十分です。手続き上の不備や個人的な偏見の証拠が必要です。 アピールがより良い選択肢かもしれない :申請プロセスに費やすよりも、審査官との意見の相違については特許審判部(PTAB)へのアピールを検討したほうが現実的な解決策となることが多いです。 審査官の交代にはリスクがある :仮に交代が成功したとしても、新しい審査官がより有利であるという保証はありません。場合によっては、現在の審査官やその上司との交渉や協力を模索する方が得策かもしれません。

  • 組み合わせ不備主張の留意点

    自明性拒絶(35 USC 103条拒絶)を受けた際、一つの反論として先行技術同士の組み合わせ不備を主張することは一般的です。しかしながら、自身の発明に注目するあまり、組み合わせ不備の論点がずれてしまうことがあります。よくある事例は下記になります。 1. 先行技術と自身の発明を比較してしまう(先行技術同士を比較すべきところで) 最もよく見られる誤りの一つは、先行技術同士ではなく、一つの先行技術と自身の発明を比較してしまうことです。反論は、審査官が提案する先行技術の組み合わせが機能しないことを示すためのものであり、先行技術が自身の発明と比べて劣るという主張ではありません。 誤りの例: 出願人が、先行技術が自身の発明のように機能しないと主張する。 正しいアプローチ: 正しい戦略は、審査官が提案した先行技術の組み合わせが機能しないことに焦点を当てることです。たとえば、審査官が二つの先行技術(AとB)を組み合わせて拒絶理由を提示した場合、出願人はAとBの組み合わせが機能しないことを示すべきです。焦点は常に、提案された先行技術の組み合わせが機能しない、あるいは欠陥があるという点に置くべきであり、それらの技術と自身の発明を比較することではありません。 2. 無効の根拠となる証拠やサポートを提供しないことです。もう一つのよくある誤りは、無効になるという結論を述べるだけで、具体的な証拠や説明を提供しないことです。ただ「先行技術は一緒に機能しない」と言うだけでは、審査官や特許審判部(PTAB)を納得させることはできません。 誤りの例: 出願人が、二つの先行技術は互換性がないと主張するが、その根拠となるデータや説明、証拠を提示しない。 正しいアプローチ: 反論を効果的に主張するには、詳細な技術的説明を提供し、実験結果や専門家の宣誓書、または技術的な分析を証拠として提示する必要があります。たとえば、二つの先行技術を組み合わせると化学反応が衝突する、電気的に互換性がない、または機械的に機能しなくなるといった場合には、これらの点を明確に説明し、その主張を裏付ける証拠を提示する必要があります。 3. 軽微な不一致や簡単に解決できる不具合に焦点を当てる軽微な不一致に焦点を当てたり、簡単に解決できる問題に基づいて反論を展開すると、説得力に欠けます。問題が簡単に解決できる場合、審査官は依然として組み合わせが有効であると主張するかもしれません。 誤りの例: 出願人が、二つの先行技術の間に小さな設計の違いを強調し、その違いが容易に解決できることを見逃している。 正しいアプローチ: 反論を成功させるためには、不一致が重大で解決不可能であることを示す必要があります。組み合わせを実現するためには、根本的な再設計が必要であると証明できる場合に限り、無効論は効果的です。 4. 審査官の提案する組み合わせを誤解している 出願人が審査官が提案した先行技術の組み合わせを誤解し、その誤解に基づいて反論を展開してしまうことがあります。 誤りの例: 出願人が審査官が実際に提案している組み合わせとは異なる組み合わせについて反論する。 正しいアプローチ: 反論を提示する前に、審査官の拒絶理由を十分に確認し、審査官がどのように先行技術を組み合わせようとしているのかを理解することが重要です。反論は、審査官が実際に提案している組み合わせに対して行わなければなりません。 5. 先行技術の目的を無視する 先行技術の組み合わせに対する反論を主張する際、先行技術の意図された目的を考慮しないことも誤りです。審査官が提案する組み合わせが、自身の発明とは異なる目的を持つ場合、反論をその目的の違いに基づいて展開するのは不適切です。 誤りの例: 出願人が、先行技術が自身の発明と同じ目的を達成できないことを理由に反論を展開する。 正しいアプローチ: 審査官が提案する先行技術の組み合わせが、その意図した目的に対して機能しないことを証明することに焦点を当てるべきです。たとえば、先行技術が異なる分野に関連している場合や、異なる結果を達成するために設計されている場合、その組み合わせがその目的に対して機能しないことを示すべきです。 6.可能な解決策や代替案を無視する 先行技術の組み合わせに問題があるとしても、それが簡単に解決できる場合、反論は効果的ではなくなる可能性があります。 誤りの例: 出願人が、技術的に容易に修正できる問題に基づいて、先行技術の組み合わせが機能しないと主張する。 正しいアプローチ: 無効の根拠が基本的かつ解決困難なものであることを示す必要があります。不適合がある場合、その修正が単純な調整や明白な変更では解決できないことを説明し、組み合わせが機能しない理由を詳細に述べる必要があります。 7. 審査官の反論を見越さない 出願人が審査官の反論を見越さずに反論を展開すると、説得力を欠くことがあります。 誤りの例: 出願人が、審査官が指摘する可能性のある反例や解決策を考慮せずに反論を提示する。 正しいアプローチ: 審査官からの反論を予測し、それに対する準備を行うことが重要です。たとえば、審査官が「当業者であれば問題を解決できる」と主張する可能性がある場合、その解決策がなぜ明白でないか、または根本的に設計を変更する必要があるかを説明する必要があります。 組み合わせ不備の反論を効果的に主張するためには、先行技術同士を比較し、しっかりとした証拠や説明を提供し、問題が容易に解決できないことを示す必要があります。これらの一般的な誤りを避けることで、組み合わせ不備に基づく自明性拒絶の反論がより強力で説得力のあるものになるでしょう。 詳しくは、 https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s2145.html

  • 米国特許法における数値限定の概要

    数値限定とは何か? 数値限定は、特許クレームにおいて範囲(例:濃度、温度など)を指定するものです。 35 U.S.C. § 102 – 新規性拒絶 参照文献が請求された範囲と完全または部分的に重なる範囲を開示している場合に発生します。 参照文献が同じ範囲、または請求された範囲内の値を示す場合、§ 102による拒絶が生じる可能性があります。 35 U.S.C. § 103 – 進歩性拒絶 先行技術に基づいて請求された範囲が自明である場合に発生します。 参照文献が正確な範囲を開示していない場合でも、先行技術が隣接する範囲を教示しているか、範囲の調整が通常行われると考えられる場合には、請求範囲が自明とされる可能性があります。 35 U.S.C. § 102 拒絶の克服 主張 : 参照文献が請求項を完全には予期していないことを示す。 請求された発明が参照文献と異なる組成、条件、構造を指摘する。 補正 : 先行技術で開示された正確な値を避けるために、請求範囲を狭める。 35 U.S.C. § 103 拒絶 – 重複または隣接する範囲:拒絶の克服 主張 – 予期しない結果 : 請求された範囲が、先行技術で示唆されていない予期しない結果をもたらすことを主張する。 主張 – 重要性 : 請求された範囲が発明の機能にとって重要であることを証明する。 数値限定における明細書に含める情報 なぜサポート情報が重要なのか? 明細書には、請求された範囲が潜在的な§ 102または§ 103の拒絶を克服するのに十分なサポートが必要です。 含めるべき情報の種類 : 実験データ : 請求された範囲内のさまざまな値が性能にどのように影響するかを示す。 範囲の制限に関する正当化 : 下限および上限が重要である理由(例: 所望の効果を達成する、または望ましくない結果を回避する)を説明する。 先行技術の範囲との比較 : 請求された範囲が先行技術に対してどのような独自の利点を提供するかを示す実験的証拠を提供する。 ベストプラクティス : 範囲内の複数のデータポイントを示して、選択された範囲と性能の改善の明確な相関を確立する。 可能な限り、定性的および定量的データの両方を含める。 審査官が見る数値限定の詳細は、 https://www.aipla.org/docs/default-source/committee-documents/bcp-files/bcp0317rangesfinal.pdf?sfvrsn=e0e1c2e5_2 Indivior UK Ltd. v. Dr. Reddy’s Laboratories S.A.の判例( https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/20-2073.OPINION.11-24-2021_1870396.pdf )に基づく、アメリカでの特許出願における「数値限定クレーム」のベストプラクティスは以下の通りです。 1. 範囲を正確に定義する クレームされた範囲は、明細書によって明確に定義され、サポートされている必要があります。 Indivior では、裁判所は特許権者のクレームが、特に数値範囲(例:パーセンテージ、重量、濃度)に関して、記載によって十分に支持されていなければならないと強調しました。あいまいまたは明細書で支持されていない広範な範囲は、記載不十分や実施可能性の欠如を理由に攻撃される可能性があります。 2. 範囲内の具体的な例を提供する クレームされた範囲内に該当する具体的な実施例を含めます。裁判所は、特許明細書に開示された具体的な実施形態に基づいた範囲を好む傾向にあります。例がない場合、実施可能性や記載不十分を理由に拒絶されることがあります。 3. 範囲の重要性を証明する 可能であれば、クレームされた範囲が重要である理由を記載します。特定の範囲が任意ではなく、予期せぬ結果をもたらすか、特定の問題を解決することを示すことで、進歩性の攻撃に対抗しやすくなります。 4. 過度に広い範囲は避ける 特に先行技術の値を含むような過度に広い範囲は、新規性や進歩性の拒絶を受けやすくなります。先行技術の値を含まないか、または先行技術に対して重要な違いや改善点があることを示すことができない限り、その範囲に注意が必要です。 5. マーカッシュグループを使用して変数の範囲を定義する 組成物の範囲など、変数の範囲を扱う場合、マーカッシュグループを使用して範囲をより正確に定義することを検討してください。この手法により、クレームの範囲があいまいになったり過度に広くなったりするリスクを回避できます。 6. 先行技術と新規性の問題に早期に対応する Indivior では、クレームされた範囲の一部が先行技術により予見可能であると判断されました。範囲クレームを進める際には、先行技術に対して新規性がある理由を論じる準備をし、進歩性の理由や予期せぬ結果を示すか、または審査中に範囲を絞って問題のある先行技術を回避することが必要です。 7. 先行技術との範囲の重複に注意する もしクレームされた範囲が先行技術で開示された範囲と重複している、またはそれに近い場合、裁判所はそれを進歩性欠如と見なす可能性があります。したがって、先行技術を慎重に分析し、範囲を絞る必要があるかどうかを判断します。 8. サブレンジの支持を確保する サブレンジをクレームする予定がある場合、明細書によって明確に支持されていることを確認してください。 Indivior では、各クレームされた範囲やサブレンジが特許の開示によって支持されているべきだと強調されました。 9. 必要に応じて範囲を狭める 審査中に先行技術による拒絶に対応するために、範囲を狭める必要がある場合があります。その際、修正された範囲が元の明細書によって支持されていることを確認してください。 10. 実験データを使用する 特定の範囲での有効性や予期せぬ結果を示す実験データを提供することで、クレームを強化できます。このデータは、進歩性や実施可能性に基づく拒絶を克服するのに役立ちます。 重要なポイント: 特許出願において、特に Indivior v. Dr. Reddy's 以降、範囲クレームは明細書によって明確にサポートされ、詳細な実施形態が含まれていることが重要です。範囲を狭め、技術的な正当性を提供し、サブレンジを効果的に使用することが、法的な問題を回避するための重要な戦略となります。これらのベストプラクティスに従うことで、アメリカでの範囲クレームの実効性と堅牢性を確保することができます。

  • 米国特許審査ベストプラクティス

    USPTOにより、現地代理人に対して一般的なミスを避けるためのベストプラクティスについてまとめらています。詳しくは、 https://www.uspto.gov/patents/laws/examination-policy/best-practices-suggestions-and-tips-slide-set-html 出願準備 では、米国の規則に従い、欧州式の形式や「使用」クレーム、マルチプルクレームを避けます。 出願前 には、USPTOの公式フォームを変更せずに使用し、Application Data Sheet(ADS)を活用して正確なデータを提出します。 出願時 には、予備補正の過剰な提出や誤った形式での提出を避けます。 審査過程 では、クレームや明細書の補正時に具体的なサポートを示し、審査官が引用した先行技術を全て確認します。Issue Fee Payment支払い後の情報開示書(IDS)は、発行取り下げの請願と併せてQPIDSを提出する必要があります。 IDS(情報開示書)に関するベストプラクティス https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/uspto_1.56_and_11.18_webinar_20230223_.pdf IDSの役割 IDS は、特許出願の過程で、審査官が特許性を判断するために役立つ情報を開示するための書類です。特許性に影響を与える可能性のある情報を、出願者や弁護士は米国特許商標庁(USPTO)に対して開示する義務があります( 開示義務、Duty of Disclosure )。 IDSに含めるべき情報 IDSには、特許性に影響を与える情報をすべて含める必要があります。以下は一般的に含めるべき情報の例です: 関連する 既存の特許 や 公開された文献 発明が一般に 公開された り、 販売された 情報 発明者間の 発明者紛争 など IDSの提出方法 IDS は、特許出願の 早い段階 で提出することが推奨されます。審査が進んだ後での提出は、追加の手数料が発生することがあります。 情報開示書(IDS) には、 PTO/SB/08Aおよび08Bフォーム を使用することが推奨されています。これらのフォームはUSPTOの公式ウェブサイトで入手可能です。 IDSのタイミング IDSはできるだけ 早期に提出 し、審査官がすべての関連情報を適切に検討できるようにすることが重要です。提出が遅れると、出願プロセスに遅れが生じたり、費用がかかることがあります。 特許審査が進んでいる場合でも、新たな関連情報が判明した場合は速やかにIDSを提出することが推奨されます。 発行料支払い後のIDS提出 発行料支払い後 にIDSを提出するのは避けるべきです。発行後に新しい情報を開示する必要がある場合は、 発行取り下げの請願 (37 CFR 1.313(c))と共に提出し、継続審査請求(RCE)を併せて行うことが必要です。発行料支払い後にIDSを単独で提出した場合、その情報は審査官に考慮されない可能性があります。 審査官面談に関するベストプラクティス (Interview Best Practice) https://www.uspto.gov/sites/default/files/patents/law/ipractice/handout_2012.pdf https://www.uspto.gov/sites/default/files/patents/law/exam/interview_best_practices.pdf https://www.uspto.gov/patents/laws/interview-practice#step4 アクセス性 では、面接の依頼は早めに行い、両者がスケジュールに柔軟に対応できるようにします。申請者はPAIRSシステムで担当審査官を確認し、審査官も依頼者の権限を確認します。また、面接の依頼や議題は早めに提出し、審査官との調整をスムーズに進めることが重要です。 次に、 準備 では、申請者が発明の「独自性」や先行技術との違いを説明できるように、詳細な議題や提案を事前に提出します。審査官はこれを基に十分な準備を行い、申請者と協力して特許性のある部分を特定します。 内容 の面では、申請者と審査官は対立的ではなく、協力的に面接を進め、クレームの解釈や修正案について理解を深めます。これにより、審査が円滑に進むことが期待されます。 最後に、 記録 は面接後に正確に行う必要があります。議論された内容、合意に達した事項、提案された修正案をしっかり記録し、双方が内容を確認することで、プロセスの透明性と効率が保たれます。

  • USPTOの特許許可割合と審査の一貫性

    特許審査プロセスは、特許として認められるアイデアやイノベーションに関して、明確な規則に基づいて進められています。審査官に求められる特許審査プロセスについては、こちらをご参照ください。 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/InventionCon2020_Understanding_the_Patent_Examination_Process.pdf 許可されたUtility patent、Plant patent、Reissue patent(UPR)出願とは、 USPTO の特許審査官によって審査され、特許を取得する資格があると判断された出願のことです。 許可率 (許可された割合)は、過去2年に処理された出願のうち、許可された出願の数を処理された出願の総数で割って計算されます。詳しいデータは、 https://www.uspto.gov/dashboard/patents/production-unexamined-filing.html また、特許審査において一貫性を求められます。USPTOは、毎年審査の質を管理しています。 https://www.uspto.gov/patents/quality-metrics 例えば、USPTOは、KSR Int'l Co. v. Teleflex Inc.事件に基づく自明性(obviousness)の判断に関する柔軟なアプローチを適用するための新しいガイダンスを発表しました。このガイダンスは、連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)によるKSR後の先例判決に焦点を当て、35 U.S.C. § 103に基づく明白性の適用について審査官を指導するものです。この更新ガイダンスは、発明が自明であると結論づける際には、事実に基づいた理由付けが必要であることを強調しています。また、特許審査手続きマニュアル(MPEP)に沿ったものであり、 2024年2月27日 から適用されています。 主なポイントは以下の通りです: アメリカ発明法(AIA)により、自明性の判断の時間的焦点は「発明がされた時点」から「出願発効日以前」へと変更され、先発明主義から先発明者出願主義 へのシステム移行が反映されています。 Graham v. John Deere Co. 事件による分析枠組みが依然として有効であり、これには先行技術の範囲、クレームされた発明との違い、そして当該技術分野における通常の技術水準の評価が含まれます。 KSR以降の連邦巡回控訴裁判所の判決は、先行技術の理解とその修正理由に関する 柔軟なアプローチ の必要性を再確認しており、先行技術の範囲を解釈する際に 常識と創造性 を考慮することを認めています。 決定を下す際には、発明が自明であるとするために、 明確で説明された理由付け が必要であり、広範な理論でも事実に基づく裏付けが求められます。 自明性に関する調査では、 自明性を否定する客観的証拠 (例:商業的成功など)を含む、関連するすべての証拠を考慮する必要があります。これらの証拠を考慮しないことは誤りです。 このガイダンスは、法的に強制力を持つ権利を新たに創設するものではありませんが、USPTO内での法の一貫した適用を確保するためのものです。詳しくは、 https://www.federalregister.gov/documents/2024/02/27/2024-03967/updated-guidance-for-making-a-proper-determination-of-obviousness 以前、USPTOは、審査官や審査ユニット間での審査の一貫性が欠如していることが問題視されているとの発表をしています。統計データを活用し、許可率やオフィスアクション数などを監視することで、審査の公正さと合理性を向上させるべきです。異常なデータが見つかった場合は、調査や対話を通じて改善を図り、審査のばらつきを減らすことで、出願者にとって公平な審査環境を確保することが重要であるとしています。詳しくは、 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/2015quality_f_gaudry6_06may2015.pdf

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