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  • USPTO、AI検索パイロットプログラム「ASAP!」を延長—制度評価に向けたデータ収集を継続

    米国特許商標庁(USPTO)は、人工知能を活用した先行技術調査を促進するパイロットプログラム「Artificial Intelligence Search Automated Pilot Program(ASAP!)」について、その有効性を評価するための追加データ収集を目的に、実施期間を2026年6月1日まで延長した。 USPTOはこれまで、各技術分野(Technology Center:TC)ごとに少なくとも400件、全体で3,200件以上の特許出願を対象として受け入れる方針を示しており、今回の延長期間中も、各TCにおいて400件の採択案件が確保されるか、または期限に達するまで参加申請の受付を継続する。さらに、同プログラムへの参加を促進するため、2026年3月23日以降に提出される所定の請願については手数料が免除される措置も講じられた。申請には電子的に提出される専用フォーム(PTO/SB/470)の利用が求められており、出願と同日にPatent Centerを通じて提出する必要がある。本プログラムは、AI技術を活用した効率的な審査プロセスの実現に向けた重要な試みとして注目されている。 詳しくは、下記サイトをご参照ください。 https://www.uspto.gov/patents/initiatives/automated-search-pilot-program?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • USPTO、未審査特許出願削減で歴史的転換点 審査迅速化と品質向上を同時に実現

    米国特許商標庁(USPTO)は、特許審査の迅速化と未審査出願の削減において大きな節目を迎えた。約10年ぶりに、年度内の初回審査通知件数が新規出願件数を上回り、さらに累計処理件数が累計出願件数を超過したことで、長年課題とされてきた未審査案件の滞留に対し、明確な改善の兆しが示された。この動きは、審査体制が需要に対して追いつき始め、いわば「申請者側に有利な流れ」へと転換したことを意味する重要な指標といえる。 2026年4月6日時点で、未審査特許出願の在庫は776,995件となり、2025年1月の837,928件というピークから大幅に減少し、過去2年間で最低水準に到達した。USPTOは例年、生産性が高まる第3・第4四半期にかけて処理能力が向上する傾向にあり、今後も未審査件数は着実に減少していく見通しである。注目すべきは、こうした削減が単なる量的処理の加速ではなく、特許品質に関する法定基準をすべて満たした上で達成されている点であり、審査の質と効率の両立が進んでいることを示している。 さらにUSPTOは、長期間放置されてきた案件への対応も進めており、36か月を超える未審査出願の在庫をほぼ解消するという積極的な目標についても、前倒しでの達成が視野に入っている。審査待ち期間の短縮は出願人にとって極めて重要であり、USPTOの試算では、審査期間が1週間短縮されるごとに米国企業の価値が平均約35,000ドル向上するというデータも示されている。この点からも、今回の改善は単なる行政効率の向上にとどまらず、企業活動やイノベーション創出に直接的な経済効果をもたらすものといえる。 ジョン・A・スクワイアーズ長官は、こうした成果の背景として、審査官の高い専門性と献身的な取り組みに加え、AI技術の導入による業務支援や審査官の増員計画の進展を挙げている。また、新たな審査指針や判例(Desjardins)および開示プログラムの導入により、より多くの出願を適切に受け入れつつ審査を進めている点も強調した。これらの複合的な施策により、審査効率、品質、処理能力という三つの主要指標が同時に改善方向へと向かっている。 今回の一連の成果は、USPTOが単なるバックログ解消にとどまらず、持続的かつ高品質な審査体制へと移行しつつあることを示すものであり、米国のイノベーション基盤の強化を裏付ける重要な動きとして注目される。今後の動向次第では、グローバルな特許審査のベンチマークとしての位置づけにも影響を与える可能性がある。

  • USPTOによる新たな審査効率化施策「PIERパイロットプログラム」の導入について

    米国特許商標庁(USPTO)は、特許審査の効率化および審査待ち案件の削減を目的として、「PCT Informed Examination Request(PIER)パイロットプログラム」を導入することを発表しました。本プログラムは、PCT国際段階で作成された調査報告書や見解書を踏まえ、出願人自身に審査の進行可否を判断させる新たな枠組みです。 本プログラムへの参加は出願人から申請するものではなく、USPTOが未審査のPCT国内移行出願の中から対象案件を選定する仕組みとなっています。そのため、出願人は自ら参加申請や離脱を行うことはできず、選定された場合にのみ対応が求められます。 対象案件に選ばれた場合、USPTOは国際段階の成果物(ISR、WO、IPRP等)を参照した「情報提供要求(Requirement for Information)」を発行し、出願人に対して今後の対応方針を示すよう求めます。出願人は、審査を進めるか、最長12か月の審査延期を選択するか、または出願を明示的に放棄するかのいずれかを選択しなければなりません。この応答は、USPTO指定の様式である「PTO/SB/478」を用いて行う必要があり、同フォームには該当する選択肢をチェック形式で明示する仕組みが採用されています。 特に審査を進める場合には、当該フォームを通じて意思表示を行うことで、案件は審査官の審査待ちリストに組み込まれます。また、必要に応じて予備補正を行い、審査に適した状態へ整えることも可能です。一方、審査延期を選択した場合は、追加費用なしで最大12か月間の猶予が与えられ、その期間中に発明の事業性や権利化の必要性を再検討することができます。なお、指定期間内に適切な応答がなされない場合、出願は放棄されたものとみなされる点に留意が必要です。 USPTOは、本プログラムを通じて出願人の意思決定プロセスを審査制度に組み込むことで、不要な審査の削減や審査品質の向上を図るとともに、制度全体の効率改善への効果を検証する方針です。PCT出願を活用する企業や実務家にとって、本制度は審査戦略に直接影響を与える重要な施策であり、今後の運用動向が注目されます。 https://public-inspection.federalregister.gov/2026-06903.pdf

  • USPTOによるAI検索自動化パイロットプログラム(ASAP!)の参加促進措置

    米国特許商標庁(USPTO)は、Artificial Intelligence Search Automated Pilot Program(ASAP!)への参加における経済的障壁を軽減するため、2026年3月23日以降に提出される所定の様式(Form PTO/SB/470)を用いた参加申請について、37 CFR 1.182に基づく請願に通常課される手数料(37 CFR 1.17(f))を職権で免除する措置を発表した。 さらに、同プログラムの受け入れ枠も拡大され、各技術センター(TC)ごとに少なくとも400件、全体で3,200件以上の特許出願が対象として受理される予定となっている。申請受付は2026年4月20日まで、または各TCにおいて400件の受理枠が満たされるまでのいずれか早い時点で終了する。この措置は、AIを活用した先行技術調査の実証を促進し、出願審査の効率化および品質向上を図るUSPTOの取り組みの一環として位置付けられる。 https://www.uspto.gov/patents/initiatives/automated-search-pilot-program?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • 外国出願人に米国特許代理人の選任を義務付け―USPTOが最終規則を公表

    米国特許商標庁(USPTO)は、特許実務に関する規則を改正し、米国外に住所(ドミサイル)を有する特許出願人および特許権者に対して、USPTOに登録された特許代理人(パテントエージェントまたは米国特許弁護士)による代理を義務付ける最終規則を公表した。本規則は、米国外の出願人・発明者および特許権者が米国で特許手続きを行う際には、必ずUSPTO登録実務家を通じて手続きを行う必要があることを明確にするものである。 今回の改正の背景には、国際的な制度調和の要請がある。多くの国では、外国出願人に対して自国の資格を有する代理人の選任を義務付けており、米国もこれに歩調を合わせる形となる。また、USPTOは、近年、代理人を介さない出願(いわゆるプロセ出願)に対する対応に多くのリソースを割いており、審査効率の低下が課題となっていた。本規則により、提出書類の品質向上と手続の標準化が期待され、審査の迅速化にも寄与するとされている。 さらに、虚偽の手数料減免申請や不正確な申告、誤認を招く提出書類の増加といった問題への対応も重要な目的とされている。登録特許代理人はUSPTOの職業倫理規則および懲戒制度の対象となるため、適正な手続の確保や不正行為の抑止が強化される。これにより、米国特許制度全体の信頼性と透明性の向上が図られる。 本規則は、連邦官報掲載から120日後に施行される予定であり、施行日以降に提出されるすべての書類に適用される。外国居住の出願人であっても出願自体は可能であるが、その後の手続や補正、各種申請には登録特許代理人の関与が不可欠となる点に留意が必要である。今回の改正は、米国における特許実務の国際整合性を高めるとともに、審査運用の効率化と制度の健全性確保を目的とした重要な制度変更といえる。 https://www.federalregister.gov/documents/2026/03/20/2026-05564/required-use-by-foreign-applicants-and-patent-owners-of-a-patent-practitioner

  • 生成AIの利用と米国特許訴訟における秘匿特権 ― Heppner判決が示す実務上の示唆

    近時、生成AIの利用が弁護士秘匿特権(attorney-client privilege)やワークプロダクト特権を自動的に失わせるのではないかとの議論が広がっています。2026年2月17日にニューヨーク南部地区連邦地裁が言い渡した United States v. Heppner  判決は、この論点に明確な方向性を示しました。ただし、この判決は生成AIを特権と両立しないものと断じたわけではありません。裁判所は、あくまで従来の技術中立的な特権法理を新しい技術に適用したにすぎません。 Heppner事件では、被告人が弁護士を選任した後、自らの判断で公開型生成AIプラットフォームを用い、防御戦略や法的主張を整理した文書を作成しました。その後、それらを弁護士と共有し、秘匿特権およびワークプロダクト特権を主張しました。しかし裁判所は、当該文書は保護されないと判断しました。理由は明快です。第一に、生成AIは弁護士ではなく、弁護士との信認関係も存在しません。第二に、利用規約上、入力情報が保存・利用・第三者開示され得る以上、合理的な秘密期待が認められませんでした。第三に、弁護士の指示や監督の下で作成されたものではなく、弁護士の思考過程を反映する資料ともいえませんでした。裁判所は、特権の有無は「誰が、どのような関係性の下で、どのような秘密保持構造のもとに」作成したかによって決まると整理しました。 この判断は刑事事件におけるものですが、その法理は米国特許訴訟にも十分に波及し得ます。特許訴訟においても、弁護士秘匿特権およびワークプロダクト特権は連邦共通法に基づき判断され、基本的な三要件テストは巡回区を問わず概ね共通です。したがって、企業の技術者や知財部門担当者が公開型生成AIを用いて非侵害論、無効理由、クレーム解釈案、FTO分析などを独自に作成し、後に弁護士へ共有した場合、Heppnerと同様の理由で特権が否定される可能性があります。 特許訴訟では、特に故意侵害(willfulness)の立証が問題となる場面において、この論点は重大な意味を持ちます。社内担当者がAIに対して特許リスクを問い合わせた履歴が開示対象となれば、主観的認識やリスク認識の有無を裏付ける証拠として利用される可能性があります。特権が否定された場合、その影響は損害賠償の増額判断にまで及び得ます。 もっとも、Heppner判決は、弁護士の指示および監督の下で、守秘義務契約やデータ非学習条項を備えたエンタープライズ型AIを利用する場合まで否定したものではありません。従来の United States v. Kovel  判例に基づけば、弁護士が法的助言を提供するために第三者を補助者として関与させ、その者が守秘義務の下で業務を行う場合、特権は拡張され得ます。生成AIも、適切な契約構造と監督体制の下では、この枠組みで評価される余地があります。 したがって、問題の本質は「生成AIを使ったかどうか」ではありません。重要なのは、その利用が弁護士の関与のもとで行われたか、そして合理的な秘密保持体制が構築されていたかという点です。特許訴訟リスクを抱える企業にとっては、公開型AIへの機密入力を制限する内部ポリシーの整備、エンタープライズ契約の締結、そして訴訟関連分析を弁護士主導で実施する体制構築が不可欠となります。 Heppner判決は、新たなAI例外を創設したものではありません。それはむしろ、特権法理の核心が依然として「弁護士の関与」と「合理的な秘密期待」にあることを再確認したものです。生成AIの活用が拡大する現在、特許実務においても、その利用方法の設計こそが、将来の訴訟リスクを左右する重要な経営課題となっています。

  • USPTO、SEPワーキンググループ始動とSPARKパイロット創設―標準化主導権の回復へ政策を本格化

    米国特許商標庁(USPTO)は、標準必須特許(Standard-Essential Patent: SEP)を巡る政策対応を強化するために設置したSEPワーキンググループの活動を本格化させ、その第一弾施策として新たに「SPARK(Standards Participation and Representation Kudos)パイロットプログラム」を立ち上げると発表した。SEPの強力な権利保護を打ち出した前回発表に続き、今回は標準化活動への米国主体の参加を制度的に後押しする具体策が示された格好だ。 SEPワーキンググループは2025年12月29日に設置が公表され、USPTO長官John A. Squires氏の直轄組織として運営されている。同グループは、標準技術に組み込まれた特許の救済強化、標準策定プロセスへの広範な参加促進、そしてライセンス交渉の透明性向上を三本柱として掲げている。近時USPTOは、差止め救済の実効性を重視する姿勢を明確にしており、連邦地裁および米国国際貿易委員会(ITC)への意見提出を通じて、有効特許の排他的権利は公共の利益に資するものであるとの立場を打ち出してきた。SEPであっても通常特許と同様に強力かつ予測可能な救済が与えられるべきであるという政策方向が鮮明になっている。 こうした権利保護強化の方針と並行して、今回発表されたSPARKパイロットプログラムは、標準化団体(SDO)への実質的な参加を促進するためのインセンティブ制度として設計されている。通信、人工知能、製造業、サイバーセキュリティといった分野では技術標準が市場アクセスや競争環境を左右するが、中小企業、大学、非営利団体などは資源制約のために標準策定活動への継続的な関与が困難であるという構造的課題が指摘されてきた。 SPARKはこの課題に対処するため、SDO活動において技術的貢献や実質的参加を行った適格な米国主体に対し、限定数の「アクセラレーション証明書」を付与する制度である。この証明書はUSPTOにおいて特許出願審査や特許審判部(PTAB)における審理の迅速化に利用できる。標準化活動に要する時間的・財政的コストを、審査加速という具体的価値によって相殺する設計となっている点が特徴的である。 Squires長官は、標準化分野における米国のリーダーシップはイノベーション、競争力、国家安全保障の観点から不可欠であると述べ、小規模主体が持つ専門性と革新的思考を標準策定の場に十分反映させる必要性を強調した。SPARKは、SEPワーキンググループ設立後初の具体的施策であり、今後予定される他のイニシアティブとともに、米国発技術の標準組み込みを促進する制度的枠組みの一部を構成する。 今回の一連の発表は、単なる参加促進策にとどまらず、SEP政策全体の再構築を示唆している。すなわち、特許権の実効的保護を前提としつつ、標準策定段階から米国主体の関与を強化することで、標準化と特許戦略を統合的に捉えるアプローチである。差止め救済の回復と標準化参加支援という二つの政策軸は相互補完的に機能し、標準必須技術における交渉力と市場影響力の強化を志向している。 国際的には、中国が国家戦略として標準関連特許の蓄積を推進し、欧州ではSEP規制制度の整備が進むなど、標準化と知財を巡る競争は激化している。こうした環境下で、USPTOがSEP保護の強化と標準化参加支援を同時に打ち出したことは、米国の技術標準政策が攻勢に転じつつあることを示すものといえる。 SPARKの詳細な適格要件や申請手続、条件等は今後公表される予定であるが、今回の発表は明確な政策メッセージを含んでいる。すなわち、標準化の場における技術的貢献を正当に評価し、その成果を強力な特許保護と結び付けることで、米国のイノベーション・エコシステム全体を強化するという方向性である。SEPワーキンググループの今後の施策展開とあわせ、その具体化の動向が注目される。 以下、SEPワーキンググループについて、2025年12月29日に設置が公表 USPTO、標準必須特許ワーキンググループを設置―SEPの強力な権利行使を明確化 米国特許商標庁(USPTO)は、標準必須特許(Standard-Essential Patent: SEP)に関する政策対応を強化するため、新たに「SEPワーキンググループ」を設置したと発表した。本グループはUSPTO長官John A. Squires氏の直轄組織として設置され、標準技術に組み込まれた特許の権利行使を巡る政策課題に対し、制度的かつ継続的に取り組む体制を構築する。共同議長にはUSPTO副法務顧問(知的財産法担当)Nicholas Matich氏および上級法律顧問Austin Mayron氏が就任する。 今回の発表は、近時USPTOが示してきた「強力かつ予測可能な特許救済の回復」という政策方針を、SEP分野において制度化するものと位置づけられる。通信、自動車、AIなどの分野において技術標準は市場形成の基盤となっており、多くの標準には特許技術が組み込まれている。これらのSEPは、技術の相互運用性を実現する一方で、ライセンス交渉や差止めの可否を巡り長年にわたり議論の対象となってきた。 USPTOは今回の発表において、SEPを取り巻く環境が特許権者にとって「ますます厳しいものになっている」との認識を示した。具体的には、特許価値の過小評価、ライセンス料の抑制、差止め救済の制限といった傾向が、技術標準に貢献する発明者のインセンティブを損なっているとの問題意識を明確にしている。特に、差止めの利用が過度に制限されることは、特許制度の根幹にあるイノベーション促進機能を弱体化させるとの立場を強調している点が注目される。 実際、USPTOは近時、司法および行政手続に積極的に関与している。2025年6月のRadian Memory Systems LLC対Samsung Electronics事件では、仮差止めが不当に制限されることは特許法の趣旨に反するとする意見書を提出し、特許侵害においては損害額算定の困難性自体が回復不能損害を構成し得ると明言した。また、同年11月には米国国際貿易委員会(ITC)におけるDRAM関連事件で初めて公的意見を提出し、有効な特許権を排除命令によって保護することは公共の利益に合致するとの立場を示した。これらの動きは、SEPを含む特許権に対する救済の実効性を回復させる方向性を明確にするものである。 新設されるSEPワーキンググループは、三つの主要目標を掲げている。第一に、有効な特許権に対する強力で予測可能な救済の回復である。SEPであっても一般特許と同様に適切な差止めおよび排他的権利の行使が認められるべきとの考え方が基礎にある。第二に、標準化団体(SDO)への参加を促進し、特に中小企業やスタートアップが標準策定プロセスに参画しやすい環境を整備することが掲げられている。第三に、特許権者、実装企業、標準化団体などのステークホルダーとの対話を強化し、SEPライセンス交渉および標準策定における透明性と予測可能性を高めることである。 今回の発表は、過去十数年にわたり続いてきたSEP差止め抑制的な政策傾向からの転換を示唆するものとも評価できる。特に、特許権と反トラスト法は対立関係にあるのではなく補完的関係にあるとの認識を強調している点は重要である。標準化を通じて市場を創出し、技術革新を社会実装につなげるためには、特許権の実効的保護が不可欠であるという政策思想が前面に打ち出されている。 国際的にもSEPを巡る政策環境は変化しており、中国は国家戦略として標準関連特許の取得を推進し、欧州ではSEP規制制度の導入が議論されている。こうした中、米国が特許保護の強化を通じて技術標準分野での競争力回復を図る姿勢を明確にしたことは、グローバルな知財戦略にも影響を与える可能性がある。 SEPワーキンググループの具体的な政策提言やガイダンスの内容は今後明らかになるが、少なくとも現時点で示されたメッセージは明確である。すなわち、有効な特許権には強力な救済が与えられるべきであり、標準技術への貢献は正当に評価されなければならないということである。SEPを巡る法政策の重心が、改めて特許権保護の強化へと傾きつつあることを示す動きとして、今後の展開が注目される。 USPTO News: https://www.uspto.gov/subscription-center/2025/uspto-announces-sep-working-group?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • USPTO、特許付与証のセレモニアルコピーをオプトイン方式へ移行 ― 2026年3月9日開始

    米国特許商標庁(USPTO)は、2023年4月18日に紙の特許証の発行・郵送を終了し、電子特許付与(eGrant)へ完全移行しました。これに伴い、これまで全ての特許権者に対して、記念用としてのセレモニアルコピー(儀礼用特許証)が自動的に送付されてきました。しかし、多くの出願人から「セレモニアルコピーを利用していない」「必要な場合のみ受け取りたい」といった声が寄せられていました。 こうした利用者のフィードバックを受け、また需要に即した効率的なリソース配分を行うため、USPTOはセレモニアルコピーの提供方法を見直し、今後は希望者のみが受け取れる「オプトイン方式」を導入します。この変更により、年間約250万ドルの印刷・郵送コスト削減が見込まれており、USPTOはその分のリソースを、利用者にとってより重要なサービスへ振り向けるとしています。 新しい運用は2026年3月9日から開始されます。同日以降、特許付与時にセレモニアルコピーを受け取りたい場合は、発行料支払い時に提出するPTOL-85(Part B)において、「Ceremonial Copy」のチェックボックスを選択する必要があります。これ以降は、オプトインした出願人、または2026年3月9日以前に発行料を支払った出願人のみが、セレモニアルコピーを受け取ることになります。 なお、新制度の対象となる出願で、発行料支払い時にチェックを入れ忘れたものの、後からセレモニアルコピーを希望する場合には、一定の救済措置が設けられています。2026年6月9日までに、特許番号を明記した上でeGrants@uspto.gov宛にメールで申請すれば、適切な申請と判断された場合に限り、登録されている連絡先住所へ1部のみセレモニアルコピーが送付されます。 改めて強調されている点として、法的に有効な正式な特許付与文書はあくまでeGrantであり、セレモニアルコピーは記念的な位置づけに過ぎません。プレゼンテーション用コピーや認証謄本など、その他の公式コピーは、従来どおりCertified Copy Centerから取得可能です。eGrant自体は、引き続きPatent Centerを通じて閲覧・利用することができます。 今後、米国特許出願を行う企業や代理人にとっては、発行料支払い時の手続において、セレモニアルコピーの要否を明確に判断・管理することが重要になります。 USPTO News: https://www.uspto.gov/subscription-center/2026/opt-option-courtesy-ceremonial-copies-egrants

  • USPTO、米国外所在の特許出願人・特許権者に登録特許実務者による代理を義務化する規則改正案を公表

    米国商務省・米国特許商標庁(USPTO)は、特許出願人および特許権者のうち、 住所(自然人)または主たる事業所(法人等)が米国または米国領内にない当事者 (以下、米国外所在の出願人/発明者・特許権者)について、 登録特許実務者(登録特許弁護士・登録特許代理人等)による代理を必須 とするため、特許実務規則(37 CFR Part 1)の改正を提案しています。USPTOは、この代理人必須化により、米国の運用を国際標準に近づけるだけでなく、手続運営の効率とコンプライアンスを高め、虚偽申請等への対応力を強化できると説明しています。 本提案の背景としてUSPTOが挙げているポイントは、1) 第一に 他国審査当局との調和 です。多くの国では、外国出願人が現地の資格者(代理人)を通じて手続を行うことが義務づけられており、米国でも同様の枠組みを導入することで、国際的に整合した出願・権利管理の実務に近づける狙いがあります。2) 第二に 審査の効率化 であり、代理人を付けずに本人が直接手続する(pro se)ケースでは、方式不備や手続上の行き違いが生じやすく、USPTO側の事務処理や審査官対応に追加コストが発生しやすい点が課題とされています。3) 第三に 法令・規則の順守強化 で、登録特許実務者が関与することで、手続要件に沿った専門的な提出が期待でき、制度上求められるルール遵守の実効性が高まるとしています。4) 第四に不正・虚偽申請の防止(詐欺抑止)であり、登録特許実務者はUSPTOの職業倫理規則や懲戒制度の対象で、調査への協力義務等も負うため、虚偽の陳述や不正確な実体情報の記載、虚偽の資格・ステータス主張(例:手数料減免に関わる不適切な申告)といったリスクを低減し、制度の信頼性を高められると説明されています。 運用面では、代理が必要となる案件について、補正や応答書、出願人情報(ADS)、情報開示(IDS)、各種請願(優先審査申請等)などの提出書面は、原則として登録特許実務者の署名がなければ受理・記録されない方向で整理されています(他方で、発明者宣誓書など、性質上特定当事者の署名を要する書面は例外とされます)。また、特許権者が法人等である場合の代理人要件も明確化され、成立後の局面を含めた手続の適正化を図る内容となっています。 本提案はパブリックコメントの対象で、 意見提出期限は2026年1月28日 です。コメントは政府の電子規則制定ポータル(regulations.gov)から、ドケット番号「 PTO-P-2025-0008 」を検索し、該当案件の「Comment」機能を通じて提出します。提出内容は公開されるため、公開を望まない個人情報(住所・電話番号等)は記載しないことが推奨されています。

  • USPTOが推薦するPDFフォーマットの適切な利用と不明瞭な図面の対応

    Patent Centerを通じてUSPTOへPDFファイルを提出する際、特に図面が不明瞭になってしまうという問題が多く報告されています。この問題の主因は、PDF作成時の画像解像度の不足、非可逆圧縮による画質劣化、ならびにPDF特有の機能やレイヤー構造が審査用表示に適さない形で残存している点にあります。USPTOはこれらのリスクを回避するため、PDFフォーマットおよび画像処理に関して明確な技術的指針を示しています。 まず、図面や画像は、白黒(二値)、カラー、またはグレースケールのいずれであっても、最低300 DPIの解像度でスキャンまたは作成することが求められます。300 DPIを下回る画像は、拡大表示や印刷時に線が途切れたり文字が判別できなくなる可能性が高く、審査官による正確な理解を妨げる要因となります。 次に、画像ファイルの形式と圧縮方式も重要な要素です。 USPTOでは、TIFF、PNG、GIF、BMPといったロスレス形式で保存された画像の使用を推奨しています。特に注意すべき点として、PDF作成ソフトウェアが自動的に画像をダウンサンプリングしたり、不可逆圧縮を適用したりしないように設定する必要があります。カラーおよびグレースケール画像については、原則として圧縮を行わないことが望ましく、白黒(二値)画像に対してのみCCITT Group IV圧縮の使用が推奨されています。これにより、ファイルサイズを抑えつつ、線画の鮮明さを維持することが可能となります。 また、PDFの「Alternates」機能の使用は禁止されています。Alternatesは、画面表示用と印刷用で異なる画像を切り替える機能ですが、USPTOの審査環境では意図しない画像が表示されるおそれがあり、提出図面の完全性および一貫性を損なうリスクがあります。そのため、単一かつ確定した画像のみを埋め込むことが求められます。 さらに、複数のレイヤーを含む画像については、PDFに埋め込む前に必ずフラット化する必要があります。この際、すべてのレイヤーのプロパティを「表示(visible)」に設定した上で統合することが重要です。レイヤーが非表示のまま残っていると、作成者の意図した内容が審査官側で表示されず、図面の欠落や誤解を招く可能性があります。 以上の点を遵守することで、Patent Center提出時に発生しがちな図面の不明瞭化を大幅に低減することができ、USPTO審査官に対して正確かつ明瞭な技術情報を提供することが可能となります。PDF作成工程を単なる形式的作業と捉えるのではなく、審査品質に直結する重要なプロセスとして位置づけることが、円滑な特許審査への第一歩となります。 Images Bi-tonal (black and white), color, or grayscale images should be scanned at a minimum resolution of 300 DPI. It is recommended to use images saved in a lossless format (e.g., TIFF, PNG, GIF, BMP). It is strongly recommended that the PDF creation software does not downsample images during the PDF creation process, as this could degrade the quality of the image. For color and grayscale images, it is recommended that no compression be used; CCITT Group IV compression is recommended for bi-tonal images. The use of Alternates (a feature within PDF that allows for alternate images to be used for on-screen rendering and printing) is prohibited. Images consisting of multiple layers must be flattened before embedding into the PDF document. The properties of all layers should be marked as "visible" before flattening. This ensures that the complete image is visible to the examiner. この他、Patent Centerを利用する際のUSPTOが推奨するPDFガイドラインをご参照ください。 https://www.uspto.gov/patents/apply/applying-online/efs-web-pdf-guidelines

  • 先例的判断 Ex Parte Desjardins に基づく35 U.S.C. §101 適格性ガイダンスを強化 ーMPEP 改訂の事前告知を発表

    米国特許商標庁(USPTO)は、先日、審査基準書である Manual of Patent Examining Procedure (MPEP)の改訂に関する事前告知を発表し、特許適格性(subject matter eligibility)に関する最新の指針を明確化した。今回の更新は、先例的判断となった Ex Parte Desjardins  の審決を反映したものであり、特にコンピュータ機能の向上や技術分野への具体的な改善をどのように捉えるべきかを、連邦巡回控訴裁判所の Enfish, LLC v. Microsoft Corp.  の判旨を踏まえて整理している。 新たな指針では、技術的改良、コンピュータの動作向上、データ構造、学習モデル、その他応用技術に関する発明を審査する際、審査官はクレーム全体を総合的に評価し、明細書に記載された技術的進歩を適切に考慮することが求められると強調している。特許適格性の判断では依然として Alice/Mayo テストが適用されるが、その分析において、クレームが司法例外を実質的な応用へ統合しているかどうかを、技術的改善の内容と結びつけて評価する点が重要視される。 今回のMPEP改訂は、特許適格性と特許性(新規性・進歩性・記載要件)を明確に区別する意図を持ち、35 U.S.C. §§ 102、103、112 が引き続き発明の実体的特許性を判断する主要な規定であることも再確認している。また、改訂内容は昨日公表された「任意のSubject Matter Eligibility Declaration(SMED)」に関するガイダンスとも補完関係にあり、SMED が提出されたか否かにかかわらず、審査官が適格性分析を行う際の枠組みそのものを明確化するものとなっている。 改訂の範囲には、MPEP §2106 および関連セクションの更新、Step 2A Prong Two における技術的改善の評価についての詳細な説明、 Ex Parte Desjardins  を基にした応用技術・コンピュータ機能・構造化データ処理・学習システムに関する新しい事例の追加が含まれている。また、発明がどのように技術を改善しているかを判断する際の審査官の責任も明確化されている。 本ガイダンスは即日適用され、今後正式にMPEPへ組み込まれる予定である。USPTO は審査官向けの追加研修資料も準備しており、公衆にも公開される見込みである。 具体的な内容としては、 Ex Parte Desjardins  において審判部は、機械学習モデルの継続的学習に伴う「catastrophic forgetting(破滅的忘却)」と呼ばれる技術的課題に対し、出願人が示した具体的な解決策を技術的改善として評価した。審判部は、モデルが新たなタスクを学習しつつ、既存タスクに関する知識を保持する仕組みを明細書が詳細に開示している点を重視し、この点が単なる数学的概念にとどまらず、モデルの動作そのものを改善する技術的特徴であると認定した。特に「第二のタスクに対する性能を最適化しつつ、第一のタスクの性能を保護するためにパラメータを調整する」という工程が、明細書に開示された改善と一致する技術的要件としてクレーム全体に反映されていると判断した点は、本決定の核心である。 この判断は、連邦巡回控訴裁判所が Enfish, LLC v. Microsoft Corp.  および McRO, Inc. v. Bandai Namco Games America Inc.  で示した原則、すなわち「ソフトウェアによる論理構造やプロセスがコンピュータ機能を実質的に改善し得る」という考え方に基づいている。USPTOは今回の改訂において、明細書が開示する技術的改善の内容が、クレームの実際の構成に反映されているかどうかを審査官が厳格に評価する必要があると明確に示しており、単なる抽象的表現や結論的記載だけでは改善として認められないことも強調している。 さらに改訂では、MPEP §2106 系列の複数のセクションにわたり、技術的改善に関する判断基準が整理された。特に Step 2A Prong Two における「実質的応用への統合」の判断において、明細書が示す技術的進歩とクレームがどの程度整合しているかを検討することが重要である点が明確化されている。例えば Ex Parte Desjardins  では、モデルの学習方法自体が改善されている点、性能維持のためにパラメータを調整する仕組みがクレームに具現化されている点など、技術的特徴を総合的に評価する手法が示された。審査官は、クレームを過度に一般化して評価しないよう注意を払い、個々のステップが組み合わされた全体としての技術的効果を見落とさないよう求められている。 また、MPEP §2106.05(a) では、発明が特定の問題に対して特定の技術的解決策を提示しているかどうかが重要な観点であることが改めて強調された。これは DDR Holdings  や BASCOM  の判例に通じる考え方であり、単に抽象的概念を適用するだけでなく、技術的構成や特定の処理手法によって問題が解決されている場合、追加要素は「apply it」型の単なる適用指示には該当しないと判断され得る。 Ex Parte Desjardins  もこの枠組みに位置付けられ、破滅的忘却という技術的課題に対して具体的なモデル訓練手法を示した点が、技術的改善として認定された。 改訂に伴い、機械学習分野についての具体例も追加されており、連続学習システムにおける知識保持の改善や、パラメータ調整に基づく性能向上など、AI技術に特有の改善が特許適格性の判断においてどのように評価され得るかが示されている。これにより、AI・機械学習関連技術の審査における予見可能性が向上し、発明者や出願人にとってもより明確な指針が提供されることとなった。 本改訂は本メモランダムの発出と同時に効力を持ち、MPEPの正式な改訂版にも順次反映される予定である。USPTOは、審査官および一般向けに追加の研修資料を公開する方針であり、特許適格性評価の透明性向上と一貫性の確保を目的として取り組みを進めている。 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/memo-desjardins.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

  • 特許適格性に関する宣誓書(Subject Matter Eligibility Declarations:SMEDs)の取り扱い

    米国特許商標庁(USPTO)は本日、特許適格性に関する宣誓書(Subject Matter Eligibility Declarations:SMEDs)の取り扱いについて、審査官および出願人・代理人向けに二つの新たなガイダンス文書を公開しました。新任の長官である John A. Squires 氏は就任直後、分散型台帳技術および医療診断分野の特許二件に自ら署名し、急速に発展する応用技術分野においても、適切に要件を満たした発明は積極的に保護するという強い姿勢を示しました。また近時先例化された In re Desjardins  事件では、機械学習モデルの機能改善が「実際の技術的応用」として特許適格性を支持し得ることが明確化され、AI 技術の審査運用にも大きな影響を与えています。 こうした流れの中で発表された今回のガイダンスは、SMEDs の役割と運用方法を明確にするものです。審査官向けのメモランダムでは、SMEDs が任意提出の Rule 132 宣誓書として扱われ、提出された場合には技術的改善や出願時点の技術水準、または司法例外が実際の技術に統合されていることを示す事実などを、審査官が証拠として適切に評価しなければならないことが示されています。評価は「証拠の優越」基準に基づいて行われ、提出された証拠がクレームの技術的性質を支持する場合には、審査判断に実質的な影響を及ぼすものとなります。 一方、出願人・代理人向けのメモランダムでは、SMEDs を特許適格性の論点に専念した独立の宣誓書として提出することが望ましいとされ、適格性以外の論点と混在させると審査が不必要に複雑化する可能性が指摘されています。また、SMEDs は客観的事実に基づくものでなければならず、元の明細書に含まれない新規事項を補う目的で使用することはできません。あくまで、クレームに示された技術的特徴が実際に技術的改善をもたらしていることを客観的に示す補助的材料として位置付けられています。 これらのガイダンスは、特許適格性の審査手続を変更するものではなく、既存制度の枠内で証拠提出の方法と評価基準を明確化することに主眼があります。特に AI やソフトウェア、医療診断など、適格性の判断が難しい分野において、出願人が自身の技術的貢献を裏付ける実証的情報を提出しやすくなるとともに、審査官側も一貫性ある判断を行うための指針が提供されました。USPTO は今回のガイダンスを通じて、審査の透明性を高め、技術分野を問わず特許適格性の原則をより安定して適用することを目指しています。これらの文書は本日から即時適用され、審査官および一般向けの追加トレーニング資料も順次公開される予定です。 第一のメモランダム: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/smeds-applicants-practitioners.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= 米国特許商標庁(USPTO)は、Subject Matter Eligibility Declarations(SMEDs)に関する実務を明確化するため、Rule 132 に基づく宣誓書提出の最良の方法について新たなガイダンスを発表しました。本メモランダムでは、特許適格性(SME)に関する宣誓書は、他の論点、たとえば進歩性に関する二次的考慮事項や結合動機といった内容と混在させず、独立した文書として提出するべきであると推奨しています。併せて、審査官向けメモランダムも付属し、出願人が任意で提出できるSMEDの役割や審査官が取るべき対応が再確認されています。 USPTOは、SMEDsが特許適格性に関する証拠を提出するための特別な役割を担っていることを強調しています。特許適格性の判断では、クレームに記載された発明と提出される証拠との間に明確な関連性が求められます。SMEDsは、技術的改善が明細書にどのように開示され、それを当業者がどのように理解するかを示すための客観的資料として機能し、発明が米国特許法第101条の要件を満たすことを裏付ける重要な手段となります。また、SMEDはあくまで既存の明細書の内容を補強するためのものであり、新規事項の追加とみなされるような内容を含めることは許容されません。さらに、提出は適時に行われる必要があり、クレームの内容と密接に結びついていることが求められています。 本メモランダムは、SMEDs を他の証拠・意見と混在させることのリスクについても明確に説明しています。Rule 132 に基づく宣誓書は、複数の法的論点に関する拒絶を同時に扱うことは可能ですが、特許適格性に関わる証拠と、進歩性や動機付け、あるいは予想外の効果といった別の論点を一つの宣誓書に盛り込むと、審査官が証拠の範囲と重み付けを適切に判断することが難しくなる可能性があります。MPEPにおいても、特許適格性と進歩性に関する宣誓書は異なる目的と評価基準を持つことが明示されており、これらを分離して提出することで審査がより明確になり、審査官の判断を支援することにつながるとされています。 さらに、審査官向けメモランダムでは、提出されたSMEDsを含むすべての証拠と主張を丁寧に検討し、特許適格性の拒絶を評価するよう指示しています。もし特許適格性以外の論点とSMEDが一つの文書に混在している場合、審査官はSMEに関連する証拠を特定することが難しくなり、結果として宣誓書の証拠価値が十分に発揮されないおそれがあります。このような実務上の課題を回避するためにも、SMEDs の独立提出が望ましいと強調されています。 本ガイダンスは、USPTO自身の研修資料や実務用ツール、また連邦巡回控訴裁判所の判例とも整合する内容となっています。これらの資料はいずれも、宣誓書は扱う論点に応じて明確に構成されるべきであり、審査官が誤解なく評価できる形で提出することが重要であると示しています。また、多くの特許実務家のガイドラインにおいても、特許適格性と進歩性といった異なる法的評価基準を一つの宣誓書にまとめることは避けるべきとされており、それぞれに応じた宣誓書を別途用意する方が望ましいと推奨されています。 USPTOは本メモランダムを通じて、出願過程における証拠記録の明確化、審査の一貫性向上、そして適切な特許保護の促進を図っています。特許適格性に関するSMEDsを他の論点と分けて提出することで、証拠の関連性が明確になり、審査官の判断も容易となり、結果として宣誓書の説得力が高まることが期待されます。 第二のメモランダム: https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/smeds-corps.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term= 米国特許商標庁(USPTO)は、特許適格性(Subject Matter Eligibility:SME)の審査をより明確かつ一貫して行うため、Subject Matter Eligibility Declarations(SMEDs)の役割と審査官が取るべき対応について、新たなガイダンスを公表しました。本メモランダムでは、出願人が任意で提出できるSMEDsの意義を再確認するとともに、審査官がその内容を適切に評価するための基本的な考え方が示されています。 長官 John A. Squire 氏は就任直後、分散型台帳技術および医療診断に関する特許に署名し、これらの分野が長年直面してきた特許適格性の混乱に対して明確な姿勢を示しました。その後に発表された Appeals Review Panel の In re Desjardins  決定では、複数の機械学習タスクを維持しながら学習を進める技術が「抽象的なアイデアを実質的な技術的応用へ統合している」と判断され、Step 2 の要件を満たすとして101条拒絶が取り消されました。この決定では、機械学習モデルの動作そのものを改善する発明を特許適格と認めるべきであるとし、米国がAI分野で競争力を維持するためにも過度に広い101条拒絶を行うことへの警鐘が鳴らされています。Squires 長官はこの判断を先例化し、AIやデータ処理技術などにおける性能向上が特許適格性の評価において重要な意味を持つことを明確にしました。 今回の審査官向けメモランダムでは、出願人が提出できるSMEDsの位置付けが改めて整理されています。SMEDs は Rule 132 に基づく既存の宣誓書制度の一部であり、特許適格性に関連する事実を明確に記録するための任意の手段として扱われます。提出された宣誓書は、審査官がクレームの技術的内容を理解し、発明が抽象的な概念を超えて具体的な技術的改善を実現しているかを判断する際に役立つものであり、審査記録の透明性と精度を高める役割を担います。審査官は、宣誓書が形式要件を満たしていれば、提出された証拠を記録全体の一部として適切に評価し、特許適格性の判断を「証拠の優越(preponderance of the evidence)」基準に基づいて行う必要があります。 SMEDs が審査において有効となるのは、クレームに記載された発明と宣誓書に含まれる証拠との間に明確な関連性が存在する場合です。SMEDs では、当業者が明細書をどのように解釈するか、発明が技術分野におけるどのような改善をもたらすのか、また出願時点の技術水準がどのようであったかといった事実が示されることがあります。これらの証拠は、抽象的なアイデアに対する技術的応用の有無、コンピュータ機能の改善、ニューラルネットワークの性能向上、または特定の治療・予防方法における具体的適用などを示す場面で特に有用となります。ただし、宣誓書で新たな技術内容を補うことは許されず、あくまで出願時点で明細書が示していた情報を裏付ける事実を提供するものでなければなりません。 審査官は提出されたSMEDsを他の証拠と併せて総合的に評価し、適格性の判断が維持される場合でも、撤回される場合でも、その理由を明確に記録することが求められています。メモランダムでは、SMEDs が特許適格性に関する疑問点を補完し、発明の技術的意義をより明確に示すものとして活用できることが強調されています。特にAI・ソフトウェア、医療診断、データ処理など、新興技術領域における特許適格性判断の複雑さを踏まえ、SMEDs は発明の技術的貢献を丁寧に示すための重要な手段となり得ます。 今回のガイダンスは新たな審査手続を導入するものではなく、既存の規則とMPEPに基づき、審査官がSMEDsを適切に評価するための理解を深めることを目的としています。USPTOは、審査官向けの研修資料や技術センターごとの実務支援ツールを通じて、特許適格性審査の一貫性と透明性を高める取り組みを続けており、本メモランダムもその一環として位置づけられています。

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