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【速報】USPTO新長官にジョン・A・スクワイアーズ氏が就任

  • IPBIZ DC
  • 9月20日
  • 読了時間: 3分

― 米国特許実務への影響と注目点 ―

2025年9月、米国上院は John A. Squires(ジョン・A・スクワイアーズ)氏 を、商務次官兼米国特許商標庁(USPTO)長官に正式承認しました。スクワイアーズ氏は、ゴールドマン・サックスの知財責任者(Chief IP Counsel)を務めた経験を持ち、近年は法律事務所でAI・ブロックチェーン・サイバーセキュリティ分野を専門としてきた実務家です。また、学術面ではペンシルベニア大学ロースクールで教鞭をとるなど、多方面にわたる活動歴を有しています。


■ 注目すべき政策方針

スクワイアーズ氏は承認過程において、以下の課題と方針を示しています。

  1. 特許審査の迅速化長年課題となっているバックログ(未処理案件の遅延)解消を重視。日本企業にとっても、米国出願の審査期間短縮が期待されます。

  2. 特許品質の強化“Born Strong” 特許(強固な権利として生まれる特許)の実現を目指し、より明確で実効性の高いクレームの付与を進める意向。将来的に権利行使の安定性に寄与する可能性があります。

  3. 特許適格性(§101)の明確化「抽象的アイデア」との理由で却下されるケースが多いソフトウェア・ビジネス関連発明について、予見可能性を高める方針。特にAI関連発明を扱う出願人にとって注目すべき動きです。

  4. AIツールの活用推進USPTO審査官によるAIの利用を拡大し、審査の効率化と質の向上を図る方針。出願人としても、審査過程の透明性や判断基準の変化に注視する必要があります。

  5. 不正・濫用対策特許トロールによる訴訟や、外国による訴訟資金提供の透明化などにも対応を強化。日米クロスボーダー訴訟に関わる企業にとって、訴訟リスクの変化が予想されます。


■ 実務者への影響と展望

  • AI・ソフトウェア関連発明§101の運用が明確化されることで、これまで審査の不確実性が高かった分野での出願戦略が立てやすくなる可能性があります。

  • 特許権の強度クレーム解釈の安定性向上により、米国特許のライセンス交渉や訴訟での信頼性が増すことが期待されます。

  • 審査のスピードアップ出願人にとって、製品のライフサイクルに見合った迅速な権利化がより現実的となる可能性があります。

  • 国際的競争環境中国との技術競争を背景に、米国が知財制度の整備を一層強化する方向性が示されており、日本企業にとっても米国での権利取得戦略が一層重要性を増すと考えられます。


■ まとめ

スクワイアーズ氏の就任は、USPTOの方向性に大きな転換をもたらす可能性があります。特に AI発明の特許適格性、特許権の強度、審査の迅速化 という3点は、日本企業・特許実務者にとって今後の戦略を考える上で重要な注目点です。

 
 

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