USPTO、未審査特許出願削減で歴史的転換点 審査迅速化と品質向上を同時に実現
- IPBIZ DC
- 1 日前
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米国特許商標庁(USPTO)は、特許審査の迅速化と未審査出願の削減において大きな節目を迎えた。約10年ぶりに、年度内の初回審査通知件数が新規出願件数を上回り、さらに累計処理件数が累計出願件数を超過したことで、長年課題とされてきた未審査案件の滞留に対し、明確な改善の兆しが示された。この動きは、審査体制が需要に対して追いつき始め、いわば「申請者側に有利な流れ」へと転換したことを意味する重要な指標といえる。
2026年4月6日時点で、未審査特許出願の在庫は776,995件となり、2025年1月の837,928件というピークから大幅に減少し、過去2年間で最低水準に到達した。USPTOは例年、生産性が高まる第3・第4四半期にかけて処理能力が向上する傾向にあり、今後も未審査件数は着実に減少していく見通しである。注目すべきは、こうした削減が単なる量的処理の加速ではなく、特許品質に関する法定基準をすべて満たした上で達成されている点であり、審査の質と効率の両立が進んでいることを示している。
さらにUSPTOは、長期間放置されてきた案件への対応も進めており、36か月を超える未審査出願の在庫をほぼ解消するという積極的な目標についても、前倒しでの達成が視野に入っている。審査待ち期間の短縮は出願人にとって極めて重要であり、USPTOの試算では、審査期間が1週間短縮されるごとに米国企業の価値が平均約35,000ドル向上するというデータも示されている。この点からも、今回の改善は単なる行政効率の向上にとどまらず、企業活動やイノベーション創出に直接的な経済効果をもたらすものといえる。
ジョン・A・スクワイアーズ長官は、こうした成果の背景として、審査官の高い専門性と献身的な取り組みに加え、AI技術の導入による業務支援や審査官の増員計画の進展を挙げている。また、新たな審査指針や判例(Desjardins)および開示プログラムの導入により、より多くの出願を適切に受け入れつつ審査を進めている点も強調した。これらの複合的な施策により、審査効率、品質、処理能力という三つの主要指標が同時に改善方向へと向かっている。
今回の一連の成果は、USPTOが単なるバックログ解消にとどまらず、持続的かつ高品質な審査体制へと移行しつつあることを示すものであり、米国のイノベーション基盤の強化を裏付ける重要な動きとして注目される。今後の動向次第では、グローバルな特許審査のベンチマークとしての位置づけにも影響を与える可能性がある。




