近年、PCT出願を基礎とする米国国内移行後、USPTOにより翻訳エラーとしてNotification of Missing Requirementsの発行が増加している。考え得る米国特許庁の主張としては、主な原因として以下が挙げられます:
翻訳の不正確さ:多くの申請者が、非英語の出願書類を英語に翻訳する際に不正確な翻訳を提供しており、特に技術用語や法的なクレームの表現に誤りが見られることが多いです。
翻訳の複雑さ:特許明細書の翻訳は非常に専門的で、技術的な詳細を誤解なく翻訳する必要があります。多くの国際特許出願が増加する中で、翻訳の質に対する要求が厳しくなっており、USPTOはこれらの誤りを厳格にチェックしています。
法律的影響:翻訳エラーは、特許権の範囲や特許の有効性に大きな影響を与える可能性があるため、USPTOはこれに敏感です。誤った翻訳により、特許の保護範囲が不明確になり、特許の拒絶や無効化のリスクが高まるため、正確な翻訳が求められています。
これらの理由から、USPTOは翻訳エラーに対して「Notification of Missing Requirements」を発行する頻度が増加しており、申請者は翻訳の修正を求められ、その際に$140の対応手数料が発生します。このような厳格な監視は、特許の品質と法的な一貫性を確保するために行われています。詳しくは、https://www.bitlaw.com/source/mpep/1893-01-d.html
しかしながら、最近のNotification of Missing Requirementsの内容を見る限り、翻訳の正確さだけでなく、単に形式的なエラーをチェックしているように感じられます。例えば、日本語の「請求項1」が「Claim 1」と訳されるべきところが「1」とだけ記載されると、翻訳エラーとしてNotice of Missing Requirementsが発行される事例が増えています。
単純なフォーマットの不備や翻訳の些細な誤りを理由に、修正を求められ、その対応のために追加手数料($140など)を支払わなければならないことは、多くの出願者にとって不公平に感じられるでしょう。このような細かいフォーマットエラーや表記の違いに対する厳格な対応は、実際の翻訳エラーとしての重大な問題とは異なり、単に制度上の規制を厳格に運用することによって、出願者に追加の負担を強いているという見方もできます。
対応策としては、バイパス出願(bypass continuation)も考慮に入れることができます。バイパス出願は、PCT出願が米国国内移行段階で翻訳エラーや細かいフォーマットエラーが問題となる場合に有効な対応策の一つとして考えられます。バイパス出願は、通常のPCT出願を通さず、米国独自の継続出願として処理されるため、翻訳やフォーマットに関連する厳しいチェックを避ける手段として検討されます。ただし、出願費用面でデメリットが生じます。
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