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35 U.S.C. §101(特許適格性)審査に軟化傾向 ― 出願人が活かすべき最新ポイントと判例解説

  • IPBIZ DC
  • 2025年9月19日
  • 読了時間: 4分

背景

AIやソフトウェア関連の発明に対する特許審査では、35 U.S.C. §101(特許適格性)が依然として大きな争点です。


しかし、USPTOが2024年7月に公表した「AI-SME Update」と、それを踏まえた審査官向け内部メモは、不必要な拒絶を避け、技術的改良を適正に評価する方向性を示しました。


この方針転換は、出願人にとって「101拒絶に対して応答しやすくなる」環境が整いつつあることを意味します。


出願人に有利なポイント

今回のメモで強調されたのは、以下の点です。


第一に、いわゆる「close call」の場合には拒絶すべきでないという点です。クレームが適格か不適格か微妙な場合には、不適格と判断できる可能性が50%を超える場合にのみ拒絶が許されます。つまり、単に疑わしいという理由では拒絶できず、出願人は応答で「このケースは少なくともclose callに該当する」と主張することが可能になります。


第二に、「recite」と「involve」の区別です。クレームが抽象的アイデアを具体的に記載(recite)している場合のみ司法例外に当たり、特許適格性分析が必要になります。単にアイデアを利用(involve)しているだけなら適格と判断され、101拒絶の対象にはなりません。


第三に、「apply it」に基づく拒絶の制限です。単に抽象的アイデアをコンピュータに適用しただけでは不十分であり、技術的改善を示す場合は適格と認められるべきとされています。


第四に、クレーム全体での判断が徹底されるという点です。個別要素を切り離すのではなく、クレーム全体が生み出す技術的効果を見て適格性を判断することが求められます。


判例と公表例から学ぶ実務ポイント

USPTOは、実務の参考になる具体例を公表しており、これらは出願人にとって説得力のある論拠になります。


たとえば、Example 39(ニューラルネットワークの訓練方法)では、「ニューラルネットを訓練する」というクレームが示されました。この場合、数学的アルゴリズムを具体的に記載していないため、司法例外には当たらず、単に抽象的アイデアを利用しているだけ(involve)と判断されています。出願人は応答で「本件はExample 39に類似しており、reciteしていない」と主張できます。


一方、Example 47(異常検出技術)では対照的な判断が示されています。クレーム2は「バックプロパゲーションや勾配降下法を用いた訓練」を明記しており、これは数学的概念をreciteしているため、司法例外に当たります。しかし同じ例のクレーム3では、「訓練済みモデルを用いてネットワーク侵入を検出する」と記載されており、これは単なる数式処理にとどまらず、ネットワークセキュリティという具体的技術課題に対する解決策を示しているため、適格と判断されました。


さらに、連邦巡回控訴裁判所のRecentive Analytics対Fox事件(2025年判決)では、ビジネス上の抽象的アイデアを単に自動化したにすぎないクレームが不適格とされました。これに対して出願人は、「本件は単なる自動化ではなく、システム全体の性能改善を含む」と差別化して主張できます。


実務での活用方法

実務家はこれらのガイダンスと判例を、以下のように戦略的に活用できます。


·        オフィスアクションへの応答では、「本件は数学的概念をreciteしていないため司法例外に当たらない」と主張する、あるいは「単なる自動化ではなく、Example 47のクレーム3型のように技術的改善を含んでいる」と示すことが有効です。さらに「微妙な場合にはclose call基準に従えば拒絶すべきでない」と主張することも可能です。


·        出願段階では、明細書において「どの技術的課題を解決しているか」を具体的に記載し、クレームでは「望ましい結果」を抽象的に述べるのではなく、具体的な手段やアルゴリズム、システム構造を明確に含めることが重要です。


面接の場面では、「reciteとinvolveの区別」や「apply itとimprovementの違い」を具体例とともに説明し、審査官に対して拒絶を撤回させる戦略が有効です。


今後の見通し

今後は101拒絶が減少傾向に向かうと予想されます。その一方で、102(新規性)や103(進歩性)に関する議論が主戦場となるでしょう。したがって、出願人はこれまで以上に「技術的改良性」を明細書やクレームに盛り込む必要があります。


まとめ

USPTOの最新ガイダンスは、出願人にとって有利に働く可能性があります。今回のメモと判例を踏まえると、次のような戦略が有効です。


·        微妙なケースはclose callとして適格扱いに誘導する。

·        「recite」と「involve」の違いを強調して司法例外回避を図る。

·        「apply it」拒絶にはRecentive Analytics事件などの判例を用いて反論する。

·        Example 47のように、具体的技術的改善を前面に出す。


これらを戦略的に活用することで、AI・ソフトウェア関連発明の特許化の可能性が高まります。


USPTO MEMORANDUM Date: August 4, 2025

 
 

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