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特許法 vs 独占禁止法

知的財産部や外部弁護士や弁理士による特許審査や権利範囲の話し合いにおいて、独占禁止法の観点から注意すべきキーワードは、競争の制限や市場の支配につながるような表現です。これらの用語は、意図的に市場独占を目指していると解釈される可能性があり、独占禁止法違反の疑いが生じるリスクを高めます。


特定の用語において、独占的意図を示すものとして捉えられ、独占禁止法違反のリスクが高まる可能性があります。知的財産権の行使に関するメール、ボイスレコード、書類が訴訟などで開示される場合には、これらの表現に注意し、特許権の正当な保護と競争促進のバランスを強調することが重要です。


外部弁護士や弁理士とのコミュニケーションにおいて法律特権(Attorney-Client Privilege)の下にある場合であっても、独占禁止法に関する問題が生じる場合には、そのコミュニケーションが例外的に開示される可能性があるため、弁護士とのやりとりでも慎重に言葉を選ぶことが重要です。


独占禁止法に関連するケースで問題となり、例外的にコミュニケーションが開示される判例があります。通常、弁護士とクライアントの間のコミュニケーションは秘密に保たれるべきものですが、特定の状況下では例外として開示が命じられることがあります。特に独占禁止法に関連する場合、犯罪・不正行為例外(Crime-Fraud Exception)が適用されることがあります。


特許関連の訴訟で、弁護士-依頼者間の法律特権(Attorney-Client Privilege)が独占禁止法に関連して問題となり、例外的に通信が開示される判例として、以下の判例が注目されます。


1. In re Spalding Sports Worldwide, Inc. (2000)

この判例では、特許権に関連した弁護士-依頼者間の通信が独占禁止法違反の証拠として提出されるべきかが争われました。Spaldingは、特許出願に関する内部メモを特権で保護されると主張しましたが、裁判所はその通信が詐欺の可能性がある場合には特権が適用されないことを確認しました。この判例では、弁護士との通信が不正な目的で行われた疑いがある場合、特権が解除されることが示されました。


2. In re Kellogg Brown & Root, Inc. (2014)

この事件は、内部調査に関連する通信が特権で保護されるかどうかが争われました。KBRは、特許権の行使に関連する独占禁止法違反の疑惑で調査を受けており、内部調査において弁護士が関与していたため、その通信は特権が適用されると主張しました。しかし、裁判所は、通信が主にビジネス目的で行われた場合、特権の適用が否定される可能性があると判断しました。


3. FTC v. AbbVie (2020)

この判例では、製薬会社AbbVieが特許を利用して競争を排除する目的で独占禁止法に違反した疑いで提訴されました。FTCは、AbbVieが「逆支払い合意」(pay-for-delay agreements)を通じてジェネリック薬の参入を遅らせるために特許訴訟を濫用したと主張しました。この訴訟では、弁護士との通信が特権で保護されるかが争点となり、独占禁止法の観点から特許権の行使が違法である場合、その通信が開示される可能性があることが示唆されました。


これらの判例は、特許権に関連する訴訟でも、独占禁止法違反が疑われる場合には、弁護士-依頼者間の通信が例外的に開示されるリスクがあることを示しています。特に、不正行為例外(Crime-Fraud Exception)が適用される場合、特権の保護が失われる可能性が高く、慎重な対応が求められます​


以下は、特許権利範囲の協議において、競合を排除する意図があると受け取られる表現の例です。

1. 競合排除や制限を示唆する表現

  • 競合を排除する(Exclude competitors)

  • 市場から締め出す(Drive out from the market)

  • 競合を封じ込める(Contain competitors)

  • 競争者を無効化する(Invalidate competitors)

  • 競争の場から取り除く(Remove from the competitive landscape)

2. 市場支配・独占を暗示する表現

  • 市場支配を確保する(Ensure market dominance)

  • 独占を維持する(Maintain a monopoly)

  • 市場を完全に支配する(Completely dominate the market)

  • 競合を完全に排除する(Completely eliminate competitors)

  • 市場の入り口を閉ざす(Close the door to the market)

3. 市場参入を妨げる意図を示す表現

  • 競合が参入できないようにする(Prevent competitor entry)

  • 市場参入障壁を作る(Create barriers to entry)

  • 新規参入者を排除する(Exclude new entrants)

  • 市場の参入障壁を高く保つ(Keep barriers to entry high)

4. ライセンスや訴訟を利用して競争を制限する表現

  • 特許訴訟で競合を締め出す(Shut out competitors through patent litigation)

  • ライセンスを拒否する(Refuse to license)

  • 特許権を行使して競合を抑える(Use patents to suppress competitors)

  • 特許侵害を理由に訴訟を起こす(File lawsuits to claim patent infringement)

5. 独占的契約や取引を示唆する表現

  • 独占契約を結ぶ(Enter into exclusive agreements)

  • 市場独占を維持するために(To maintain market exclusivity)

  • 排他的な販売権を確保する(Secure exclusive selling rights)

6. 競争制限や価格操作に関連する表現

  • 競争を無効化する(Neutralize competition)

  • 価格競争を防ぐ(Prevent price competition)

  • 競合を価格面で打ち負かす(Beat competitors on pricing)

  • カルテルを形成する(Form a cartel)

  • 競合他社を価格で押しつぶす(Crush competitors with pricing)



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